ワトリーとポテトは、ゆっくりと振り向いた。
ワトリーとポテトは、ゆっくりと振り向いた。
あ、あなたが犯猫だな!
何をいっているんだ?
ここに証拠があるのだ!
証拠の入った袋を掲げると
デイビスの目が見開かれ
瞬時に怒りが顔を覆った。
くそ!!
それをよこせ!
デイビスは証拠を奪い取ろうと手を伸ばす。
ポテトは慌てて袋を抱え、デイビスをかわした。
ひぃ
デイビスは格闘経験があるのだ
暴れたら手に負えないのだ!
ど、どうしよう…!
とにかく証拠を
渡してはダメなのだ
二匹は必死に警備室の中を逃げ回った
デイビスが苛立った声で叫ぶ。
くそっ!!お前ら
ちょこまかと動きやがって!
ワトリーは息を切らしながらも冷静に問いかけた。
ハァ・・ハァ・・
デイビス、聞いて
シオンは何も盗んでいないのだ!
なんだと!俺はシオンがドラッグを盗んで逃げるのをこの目で見たんだ!
だからって殺さなくてもいいじゃないですか!!
違う、脅しただけさ
でも、シオンが暴れやがったんだ…!
――その日、シオンの楽屋――
デイビスは重そうな工具箱を
抱えて楽屋に入ると、床に静かに置いた。
中身を確認するように蓋を開け
その様子を見たシオンが後ろから声をかけた。
えっと
水漏れでもしているんですか?
・・・
その言葉に答えることなく、
デイビスは工具箱の中から
アイスピックを取り出し、
シオンに向けて突きつけた。
!?
おっと、声を出すなよ
デイビスは素早くシオンの背後に回り込み、
その細い右腕を掴んで後ろ手に締め上げた。
うっ!痛い
な、なんでこんなことを…?
なんでだって?それはあんたが
一番よく知ってるはずだろう
どういう意味?
忘れたのか?あの日のことを。
俺はちゃんと見ていたんだ
お前がドラッグを盗むところをな
そ、そんな…知らない!
私じゃない!
白を切る気か?
お前、どこに隠した?
本当に知らないわ!
いいぜ、そんなに
とぼけるなら…
お前の子供に聞いてみようか?
そ、そんな!
調べはついてるんだよ
リックの子供だろ?
その瞬間、シオンの表情が一瞬で凍りついた。
目の前が真っ暗になったような気がした。
リックとの関係が知られたのだろうか?
子供のことを知っているとしたら
全てが危険にさらされる…。
だめ…子供に手を出さないで!
おいおい、子供が何か知ってるってのか?
何も知らないわ!何も知らないって言ってるでしょう!!
シオンは必死に否定したが
その必死さがデイビスの疑念を
さらに煽った。
彼はシオンの腕をさらに力強く締め上げ
追及する。
どこに隠したか、言え!
やめて…本当に知らない…お願い、信じて…!
シオンの瞳には恐怖と痛み、
そして必死に守りたいものへの思いが滲んでいた。
しかし、デイビスの冷酷な
視線は揺らがなかった――。
どうしてこんなことをするの?
リックはもう死んでいるのよ!
そうだな…死んださ
でもあんたが殺したんだろう!
私が…殺した?
そんな馬鹿なこと…
とぼけるな!あんたが
デビューしたって聞いたときは
耳を疑ったぜ
猫を殺しておいて、平気な顔で
ステージに立つなんてな!
しかも俺たちの稼ぎまで
盗みやがって…
お前なんか絶対に許さねぇ!
シオンは突然の非難に混乱していた。
リックを殺した?盗み?
何を言っているのかわからなかった。
しかし、この危険な状況を
切り抜けなければならないと直感した。
自分だけでなく、愛する子供や
リックを知っているサリーにも
危害が及ぶかもしれないと感じたのだ。
違う、そんなことするはずがない…!
シオンは全身の力を振り絞り
デイビスの手から逃れようともがいた。
くそ、暴れるな!
シオンの口を強引に押さえつけ
――ゴキッ!――
鈍い音が楽屋に響き渡る。
シオンの腕の関節が外れた音だった。
うぅっ…!
言わないなら
子供を殺す
し、知らない・・・
このメス猫が!!
その態度に怒りが頂点に達したデイビスは
持っていたアイスピックを握りしめ
シオンの右胸に突き刺した。
――!!
アイスピックが胸を貫いた瞬間
痛みと共に冷たい鉄が肌に食い込む感覚が
シオンの全身を震わせた。
鮮血が胸元から溢れ出し、
シオンの視界がかすんでいく。
デイビスは血に染まる手元を見て
舌打ちをした。
くそっ…!
お前が悪いんだからな!
その場にいられなくなったデイビスは
楽屋を後にし、警備室へと急いだ。
警備室に戻ると、デイビスは手早く計画を進めた。
レインコートと血のついた凶器を共に隠す。
そして自分が逃げるための準備を
整えている最中
防犯カメラの映像に目を向けた。
そこには
エイミーが映っていた――彼女がシオンの
楽屋に入る姿が、しっかりと記録されている。
ほう…面白い展開になってきたな
デイビスはにやりと笑い、
防犯カメラの映像をじっくりと見つめた。
数分後、映像には楽屋から慌てて
出てくるエイミーの姿が映し出された。
エイミーは警備室のドアを勢いよく開け
警備員さん、大変です!
シオンが!
どうしたんだい?
血を流して倒れているの!
すぐ救急車を呼んでください!
わかった。君はどうするんだ?
私は・・・
とにかく救急車を! 私は
シオンに頼まれたことがあるのですぐ行かないと!
落ち着いて、すぐに呼ぶから
ロックを解除したから
裏口から出るといい
はい
後はお願いします
エイミーはそれだけ言うと、
急ぎ足でその場を立ち去った。
ドアが閉まる音を聞きながら、
デイビスは低く笑みを漏らす。
ああ、後は任せておけ
エイミーがシオンを殺害し
逃げたように仕立て上げる。
そのための証拠を作るのは
デイビスにとって容易いことだった。
つづく