店内の低い音楽が重く響き
ビートが緊張を煽る。

暗がりの中
カラフルなライトが店内を断続的に照らし
周囲にいる不良たちの無表情な顔が
一瞬ずつ浮かび上がっていた。

そ、捜査に協力をお願いします

警察なんか連れてきやがって…
ビビらせたいのか?

帰るぞ!

ジョージはその場を去ろうとした。






その瞬間、
ワトリーがジョージの足にしがみついた。

ワトリー

お願いなのだ、友達が危ないのだ。なんでもいいから教えてほしいのだ!

おい、離せよ!

いやなのだ!教えてほしいのだ!

ジョージ

おい・・しつこいぞ!!

ジョージはワトリーを振り払おうと
必死に手を動かすが、ワトリーは
両腕と両足でがっしりとしがみつき
まるで離れる気配がなかった

おい、ジョージから離れろよ!!

他の仲間たちが、ワトリーを引き離そうとするが、

彼は必死にしがみつき続ける。

ジョージ

このやろう!

教えてくれるまで離れないのだ!!

コイツ!!やっちまえ!!

仲間がワトリーを囲んでさらに
攻撃を加えようとした!

ちょっと!暴行罪ですよ!

ジョージの仲間の一匹がポテトを
羽交い締めにして薄笑いを浮かべた。

なにするんだ!ボクは
警察だぞ!!

最初にやってきたのはそっちだろ?正当防衛ってやつだよな

ワトリーもう離れて!!

嫌なのだ!!

なんだよコイツ!
気持ち悪いな!!

ジョージ

くそっ!!

ジョージが地面に倒れ込こむが、
しがみつくのをやめないのを見て、

ジョージと仲間の3匹は苛立ちを募らせ
何度も足を振り下ろしてきた。

ワトリーは苦痛に顔を歪めながらも
その場から離れようとしない。

そこへ、ジョージの仲間の一匹が懐から
光るナイフを取り出した。

この野郎!!

キャー!!

金属の輝きに気づいた店内の客たちは
騒然となり、悲鳴があがる。

ジョージ

おい!よせ!!

ワトリー、危ない!離れて!

いい加減にぃー!!

!!!

その時、店内の明かりが一斉に消え

辺りは闇に包まれた。




な、なんだ?

どうなってるの?

心臓の鼓動が暗闇に響くような静寂が続き、

次の瞬間、誰かの影が立っているのが見えた。

ジョージ

おい、電気つけろ!

ジョージ

うわぁぁあ!!!

そこに立っていたのは、カオリだった。

仮面の奥から鋭く光る目が不気味に動き
異様な雰囲気が場を支配していた。

カオリ、どうしてここに?

たぶん…先輩が教えたと思う

カオリは仮面の下から低い声で語り始めた。

カオリ

今宵・・
この場にてお目見えいたしますは

蛇の化身にして・・・毒を纏いし哀しき娘に・・・ございます。

その言葉は、

かつて彼女がサーカス団で
使われていた紹介のフレーズだった。

何十年も耳にしていたフレーズが
彼女の中でよみがえったのだろう。

カオリ、何を言ってるのだ?

カオリは仮面をゆっくりと取り外し
その姿をあらわにした

蛇のように見える鱗が頬を覆い、

火傷の跡があちこちに残り、
口元には鋭い牙がむき出しになっている。

その牙からは粘液がぽたぽたと垂れ、
見る者の背筋を凍らせた。

ジョージ

!?

ひ、ひぃ!くるな、化け物!

カオリ!!

・・・

ジョージ

な、なにをする気だ…?
や、やめろよ!

カオリは一歩ずつゆっくりと近づき
冷たく、静かに囁くように言った。

私の毒は…甘くしみ込む

お前を…永遠に苦しめる



蛇神の檻

カオリのエピソード

皆さま、今宵の宴に
ようこそお越しくださいました!

さあ、これよりご覧いただきますは
この世ならぬ奇跡の一幕!

舞台に上がるは、

毒を纏いし哀しき娘にございます!

その唇より滴るは、命を奪いし猛毒

されど、その体内に秘めし力は、病を癒し

欲を呼び覚まし、運命を変えると謳われる。

彼女の運命を狂わせしその毒が、

いま皆さまの目の前でその真価を放ちます。

手足を縛られ、声を封じられた彼女が、

その毒をもって、この世に抗う姿を目撃せよ!

さあ、目を逸らすことなかれ!

彼女の一滴が
あなたの未来を変えるかもしれぬ――

かつて「蛇女」と呼ばれたカオリの人生は
暗く痛ましい過去に彩られている。

彼女はその特異な体質を利用され
サーカス団に囚われていた。

ショーではVIP客を相手に、

カオリが毒を吐く姿が見世物とされ
その毒はその場で競りにかけられた

彼女の体には特異な性質が備わっており
その唾液や汗などの体液からは

強い毒性を持つ物質が抽出されると言われていた。

美しい・・・

これで我が血統を守ることができる

その効力とは――性欲を劇的に高める力。

生命力を覚醒させ、
絶対的な美と若さをもたらす禁断の毒。

さらに一部では、それが子孫繁栄や
性にまつわる病気の
治癒にまで効果があり
資産家や海外のセレブたちが
巨額の財を投じて手に入れようとしていた。

彼らにとって、その「蛇女の毒」は、
単なる薬ではなく、繁栄や生命力の象徴であり
奇跡そのものと信じられていたのだ。

しかしこの毒は直接的には
命を奪うほどの危険性を秘めているため
適切に薄めなければならない。

下手に手を出すと、
生涯その毒で苦しむか、命を落とす。

しかしサーカス団にとって
カオリは商品に過ぎない

毎夜、体液を採取する行為は
彼女にとって拷問に等しく、
身体と心を削る日々が続いていた。

さあ皆さま
ショータイムのお時間です

資産家たちにとっては
その苦しみなど知る由もなく、
ただ彼女の力が生み出す薬だけが
価値として認められていた。

つづく

おまけ

カオリのPVです。カオリが舞台に上がる前の
オープニングアナウンスをAIのスノーで
制作、動画にしました。見たい方だけどうぞ。

最後の「彼女の一滴が・・・」がなまってますねw

第20話 新たな手掛かりを求めた先に

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