ジョセフは考えていた。

あのイザベラの様子、どうもおかしい。

あの動揺した感じは、何か隠された意図がある。

やはり裏で何か取引をして、
サリーを使って儲けているのかもしれない。

金の匂いがする。

ジョセフの長年の悪しき感覚が働いていた。
もし儲けているのなら
自分もその恩恵にあずかろう。

そんなよこしまな考えが巡り
彼はイザベラの後を追いかけた。

イザベラが歩いているのを見つけ、
ジョセフは軽い足取りで彼女に近づいた。

ジョセフ

やぁイザベラ

イザベラ

何か用ですか?

ジョセフ

いえ、ただね、サリーはずいぶんあなたのことを信頼してるようですね

イザベラ

ええ、私はデビュー当時からこのグループの担当ですから、みんな妹のような存在です

ジョセフ

そうか。シオンも妹のようにかわいがっていたのか?

イザベラ

もちろん

ジョセフ

シオンが亡くなり
センターが変わるからって嬉しそうにしてるメンバーもいたぞ

イザベラ

なんですって!?

ジョセフ

どうやらサリーが次のセンターになるんだろ?

イザベラ

なによ、まるでサリーが喜んでいるとでも?

ジョセフ

しかし、脅しに使っていた羽を
サリーが持っていたとなれば、
警察もサリーを疑うしかないんだよ

イザベラ

サリーが持っていた!
どうしてサリーが羽を?

ジョセフ

さあ、その羽でシオンを脅したんじゃないか?

イザベラ

そんなバカな!

ジョセフ

サリーはセンターの座を
狙ってシオンを…

イザベラ

それは違うわ!

ジョセフにとって、犯猫を逮捕することよりも
自分の利益が最優先だった。

このままイザベラを脅せば
金にありつける、そう考えていたのだ。

ジョセフ

このままではサリーに疑いがかかるんだよねぇ。

ジョセフ

せっかくセンターの座が見えたってのに、このままだと容疑がかけられて、人気はがた落ちだ

イザベラ

サリーは何もしてないわ!あの子の夢を奪わないで!

ジョセフ

夢?それはあんたの夢だろう。
サリーはそんなこと望んでないはずだ

イザベラは言葉に詰まり、動揺を隠せなかった。

ジョセフはその隙を見逃さなかった。

イザベラ

何が言いたいのよ?

ジョセフ

全部話したら、サリーは警察には連れていかないよ。ずいぶんサリーで儲けているんだろう?

ジョセフ

センターが変わるんだ
スポンサーも今ごろ大忙しだろう

イザベラ

も、儲けるっていったい
何のことよ

ジョセフ

あんたがサリー派だってことは
調べがついてるんだ

ジョセフ

正直に話したほうが身のためだぞ

ジョセフはあたかも知っているように振る舞い
イザベラの心を揺さぶった

その言葉が重くのしかかり
イザベラは一瞬、視線を落とした。

イザベラ

・・・分かったわ

ジョセフ

フッ、落ちたな

イザベラはバッグから小さなメモリーカードを
取り出し、ジョセフの目の前に突きつけた。

イザベラ

これよ。でも言っておくけど
あなたが期待しているようなものは何も映ってないわ

ジョセフ

ほう…どんなお宝が入ってるんだ?

イザベラが手早くパソコンを立ち上げ
カードのデータを開くと、写真のサムネイルが
ずらりと並んだ。

ジョセフ

これは…?

ジョセフが画面を覗き込むと、そこには
メンバーたちの舞台裏の写真が映し出されていた。

楽屋で談笑する姿、リハーサルに集中する表情、
衣装合わせ中の自然な一コマ――どれも仕事の
裏側を切り取った微笑ましい瞬間ばかりだ。

だが、写真のほとんどはサリーに
焦点が当てられていた。



ジョセフ

これが何だっていうんだ?

イザベラ

これは、私が内緒で撮影して
売っていたものよ。
公式には出せないオフショッを
ファンの間で
限定グッズとして販売していたの

イザベラ

サリーを推してたから
彼女の写真が中心だけど、シオンはほとんど撮ってないわ

ジョセフ

…えっと。サリーのことをセンターにしてスポンサーと契約してるんじゃないの?

イザベラ

そんなわけないでしょう。
小遣い稼ぎ程度よ。それに
スポンサー契約だの賭けだのって何を言ってるの?

イザベラ

私はただのメイクよ。
スポンサー契約なんて社長でもなければできるわけないじゃない

ジョセフ

…ああ、そうか。そりゃそうだな

イザベラ

満足したなら帰ってくれる?
こっちは忙しいの

ジョセフ

チッ。帰ろ

ちょっと待て。じゃあ、あの羽の件はどうなんだ?

イザベラ

そ、それは・・

イザベラ

私よ。お弁当の袋の中に入れておいたの

ジョセフ

つまり、シオンを殺したのも
イザベラってことか?

イザベラ

それは違う!私はただ…ちょっと脅かしてみただけよ!

ジョセフ

だから、シオンにお弁当を食べるよう促したんだな?

イザベラ

・・・はい

イザベラはシオンとの楽屋でのことを
ゆっくり話しはじめた。

つづく