シオンに送られてきたという羽を見ながら
ワトリーは疑問に思った

ワトリー

どうして、この羽をサリーが持っていたのだ?

サリー

楽屋に行ったとき、
シオンがこの羽の入った封筒を持って震えていたの

サリー

だから、私が預かって捨てたのよ。
彼女は、噂がバレるかもしれないって怖がっていた。でも、
私はいつも通りにしていれば大丈夫って言って、安心させたの

ワトリー

そうなのか…

ワトリー

そのシオンのお客はどこにいるのだ?

サリー

名前は、バーナード・カールトン
キャットタウンでも有名な金持ちの猫よ。高級な地域に住んでいる資産家だわ

ワトリー

バーナード・カールトン

シオンの死と、彼女を追い詰めた過去。
その鍵を握る人物が、

バーナード・カールトンという
オスなのかもしれない。







シオンはデビュー前にサリーと共に
高級クラブで働いていた過去があり、

その頃からの客だったバーナードは
彼女に執着していた。

シオンがストーカーに悩まされていたのは
周囲の猫たちも薄々知っていたようだ。

ポテト

みんな、シオンさんのことは
良い子だって言ってますけど
過去のことも少しは知っていたみたいですね

ジョセフ

おそらく、メイク担当のイザベラが口を滑らせてるんだ。

他の猫たちも『イザベラから聞いた』って言ってたからな

ポテト

なるほど、イザベラだけに
“べらべら”ですね

ジョセフ

フッ。その通りだ

ワトリーは二匹のやりとりをよそに
イザベラの行動が引っかかっていた。

シオンの過去について、

あえて「言わないでほしい」としながらも
噂を流しているイザベラ。

その目的が見えないのが気になっていた。

シオンが噂を恐れていた理由は、
高級クラブで働いていた過去だけでは
ないのかもしれない――

その可能性がワトリーの頭をよぎった。

シオンの怯えた様子や、イザベラの
不可解な行動からも

何か別の秘密が隠されている気がした。

ワトリー

やはり、シオンが過去のことで
何か大きなトラブルを抱えていた可能性が高いのだ。

それがシオンの命を奪う原因になったのかもしれないのだ

噂を広めていたイザベラ、過去から彼女を
追いかけていたバーナード――彼らの間には
何かつながりがあるのだろうか?

ワトリー

とにかく、バーナードに話を聞くしかなさそうなのだ

ジョセフ

俺たちは一旦、署の方でシオンの検視結果を確認して、
防犯カメラの解析も進める。
ワトリー、ワトリーも少し休めよ

ワトリー

いやなのだ、エイミーはまだ
行方が分からないのだ

ジョセフ

だけどフェリックスも今はここにいないんだ。一匹でそんなことできるのか?

ワトリー

フェリスは関係ないのだ。
ボクは、エイミーが心配なのだ

ジョセフ

それでこれからどうするんだ?

ワトリー

バーナードに会ってくるのだ

ジョセフ

バーナードに?そうか、
気をつけてな
(ふぃ~やっと帰れる)

ワトリー

ジョセフ、お願いがあるのだ。
イザベラとシオンの関係を調べてほしいのだ

ジョセフ

イザベラの?まあいいけど

ジョセフ

適当に調べておくか

カオリ

じー・・・

ジョセフ

し、調べたら報告するよ

ワトリー

お願いするのだ

その言葉を残し、ワトリーは決意を胸に
会場を後にした。

カオリも静かにその後を追った。

ポテトは歩き去るワトリーとカオリの背中を
じっと見つめ、不安そうに声を上げた。

大丈夫でしょうか?

ジョセフ

資産家が、探偵を相手にするわけないだろ

え?じゃあ
ボクたちも同行しましょう!

ジョセフ

もういいだろ。署に戻って報告しなきゃだし、書類も山積みだ…
フェリックスもいないし
無理だろ

じゃあ、ボク行ってきます!

ジョセフは眉を上げて驚いたが
すぐに小さく笑った

ジョセフ

そこまで言うなら仕方ない
行ってこい

え、ここは先輩も一緒に来る流れじゃ?

ジョセフ

何を言ってる、俺は忙しいんだ。イザベラのことも調べないといけないしな

ジョセフは

署の方へと帰っていった

ジョセフ

ちゃんと報告しろよ~

あ、先輩・・・
(絶対調べる気ないよな)

ポテトは急いでワトリーたちに
追いつくために走り出した

















ワトリー達はキャットタウンでも有名な
セレブ地区に入っていた。

豪邸が並び、大きなマンションや高級車が
道路脇にずらりと並んでいる。

そこに、バーナード家の大きな屋敷が
そびえ立っていた。



玄関前に立ち、ワトリーがインターホンを鳴らすと

玄関のカメラが彼らを確認するために動き出した。

何のご用でしょうか?

ポテト

警察のものです。バーナードさんはいらっしゃいますか?

旦那様は不在ですのでお帰りください

ポテト

えーっと、何時ごろ…

プツ

ワトリー

切れたのだ

警察が来てるのに
この対応はないよな

ワトリー

待つしかないのだ

そのとき、玄関の複数のカメラが
カオリをじっと捉えていることに気づく。

なんか、じっと見られてる?

ワトリーはすぐに気づき、カオリの手を取り

ワトリー

カオリ、ここから離れよう

カオリ

・・・

ワトリー

鍵が開いたのだ

玄関のドアが開き中からメイドが現れた

お入りください

ワトリー

カオリ、今日は帰るのだ

その方もご一緒にどうぞ

カオリはワトリーの目を見つめ、

ゆっくりと頷いた。

ワトリーは迷いながらも
カオリの手をしっかりと握り直した。

ワトリー

わかったのだ。

彼らはメイドの案内に従い
屋敷の中へと足を踏み入れた。

カオリ

・・・

なんか怖いなここ

ワトリー

エイミーを早く見つけるために
真相を探るのだ!

重々しい扉が閉じる音が響く中

彼らは静寂に包まれた屋敷の奥へと進んでいった。

つづく