ワトリーの携帯が鳴った。ポテトからの連絡だ。

ポテト

ワトリー、リックの死について調べたところ、
3年前の出来事で彼はドラッグの中毒死として事故扱いされていたんだ

ポテト

でも妙なことがあって
売人だったリックが扱っていた
ドラッグが全て消えていたんだ

ワトリー

きっとドラッグが資金源だったのだ。それが消えたとなると、
不良グループにとっては大問題だったのだ。

ポテト

うん、それで、姿を消した
シオンとサリーが
ターゲットになった。
彼女たちを追う理由としては筋が通るね。

ワトリー

…でも、一度ヴィクターが
間に入って手を打ったはずなのだ

ワトリー

あの時点で和解が成立していたんなら、今さら手を出してくるのは妙なのだ?

ポテト

たしかに。ただ、何かきっかけがあれば話は別かもしれない。
明日、不良グループに会って直接聞くしかなさそうだね

ワトリー

わかったのだ

リックの死後
シオンとサリーが突然姿を消した。

そのグループは
今もシオンを恨んでいるかもしれない

ストーカーや犯行の動機は十分に
あるといえるだろう。

ワトリーの胸に嫌な予感が広がる。

シオンのもう一つの秘密。

おそらく犯猫は子供の存在を知っていて
子供を使ってシオンを脅したのか?

デイビス

不良グループが
絡んでいるのかい?

ワトリー

うん。でもまだわからないのだ

デイビス

へぇ…なんだか気持ち悪いねぇ。さっきのファンといい、自分勝手なやつらが多すぎるよ

ワトリー

そうなのだ。シオンも、ずっと
ストーカーに怯えていたのだ

デイビス

なるほどねえ。じゃあ、その
ストーカーが彼女を…?

ワトリー

でもおかしいのだ。
この楽屋は関係者しか入れない
場所なのだ

ワトリー

犯猫は関係者に成りすまして
シオンを狙ったんじゃないかと
思うのだ

デイビス

でもエイミーさんが楽屋に入る
前まで生きていたんだろう?

ワトリー

きっとサリーが出ていったあと、エイミーが来るまでの間に殺害されたのだ

デイビス

密室ってことか。おじさんには、さっぱり見当がつかないな

ワトリーは
防犯カメラの映像を見つめた。

そこへ清掃員のジムがやってきた。

ジム

やぁデイビス

デイビス

ジム、遅くまで
仕事だったのかい?

ジム

ああ、今日は大変な一日だったよ

二匹は今日あったことを話し始めた。

ジム

この様子じゃ、明日も撤収作業があるだろうね

デイビス

そうだな。まだ機材も残っているからね

ジム

明日も忙しそうだし
そろそろ帰るよ

デイビス

ああ、気をつけてな

デイビスは裏口の扉のロックを外し

ジムは帰っていった。

ワトリーは防犯カメラの映像をみながら

そしてふと顔を上げて

ワトリー

デイビス、この映像は誰かに渡したりしてない?

デイビス

警察にはデータを渡したけど、
他には誰にも見せていないよ

ワトリー

じゃあ、事件があったときから
誰にも見せてないのだ?

デイビス

うん。それは保証するよ

ワトリー

わかったのだ

デイビス

そろそろいいかな、もうここも
閉めたいんだ

ワトリー

うん、ありがとうなのだ

デイビス

じゃあ、一緒に出ようか

デイビスがカードキーを差し込み、ドアを開けた。

ワトリーは会場を出て、
夜の冷たい空気を吸い込んだ。

薄暗い街灯が点々と続く道を
一人歩きながら、ぽつりと呟いた

ワトリー

フェリス

彼の友人であり、導き手だったフェリックス。
いつもなら隣で穏やかに
アドバイスをくれる存在だ。

しかし、今はいない。

ワトリーは自分が一匹で真実を
追わなければならない状況を噛みしめた。

ワトリー

フェリスなら…もう犯猫を見つけているはずなのに。ボクはまだ…

ポケットに手を入れると、
柔らかい紙が指に触れた。

それはエイミーが渡してくれた
舞台のチケットだった。

エイミー

私のデビューはワトリーくんに
絶対見てもらいたいの

と言って笑顔を

見せた日のことを思い出す。

ワトリー

・・・

ワトリーはぎゅっと目をつむり
こみ上げる涙をそっと拭った。

そして、決意を新たに顔を上げると
エイミーのために捜査を
続けようと静かに歩き出した。

つづく