いよいよ迎えた誕生日の日。
母親は村の女たちとご馳走を作っている。父親は男たちと酒を飲んで踊っている。
「ハッ……自分の娘が殺されるってのに。」
リリーは大丈夫だろうか。3日もあれば北へ逃げ切れているはずだ。
短い人生だったけど、いいじゃないか。私の妹のこれからの人生を空の上から眺めていれば、それだけで幸せだ。
「おい、時間だ。」父が部屋の扉を開けて、私を外へ引っ張る。
「綺麗な空……」3日ぶりの外は暖かくて、明るくて、暗闇の中にいた私を優しく受け入れてくれた。
ねぇ、神様。あなたがいなかったら私、もっと長生きできただろうね。今までに生贄として死んでいった人たちとも、会えただろうね。ねぇ、神様……なんとか言ったらどうなんだよ。
いや
これは
「人間の過ちか……」
司祭が私に薬を渡す。この薬を飲むと体が腐りにくくなるらしい。ただ、体に入れると即死するような成分も含んでいるらしく、生贄はこれを飲むことで一生を終える。
早くリリーの姿を見たい。早く死のう。
とうとう私は薬を飲み込んだ。と、その時。
「何!?リリーが見つかった?」父親が言った。
「北の街で歩いているのを俺の知り合いが見つけたらしい!これで儀式も滞りなく進むぞ!」
村のみんなが一斉に騒ぎ出す。
「や……めて。リリーには…っ」リリーにもう関わらないで……あの子から自由を奪わないで……
そう、言いたいのに。
薬を飲んでしまった私は、もう動けない状態で死は目前に迫っていた。
あと数分、私が抵抗していれば、村のみんなを止められたかもしれない…最悪両親を殺してでも……!
それを最後に私は息絶えた。
次に目覚めるとそこはー「森……か?」目の前には……列車…?
「こんにちは、お嬢さん」声を聞こえた方を見ると、1人の青年がいた。青年、と言っても白い翼に頭上の輪っか。これはー天使だ。
「列車がまもなく発車します。ご乗車下さい……どこに行くかは、前の転生の時と同じですよ。」
「ま、待って……私、妹を守らなきゃ…妹が殺される…!!」
「残念ですが、もう常世には戻れません。今から転生するとなると、最低12年はかかりますよ。」
「12年……!?それじゃ間に合わないじゃないか!」
「どうして妹さんは殺されるのですか?そのような悪業をしたのならしかたがー」
「生贄だ!!村の奴らは自分の私腹を肥やすために人の命さえも奪う……!!妹も奪われてしまう…!」
青年はしばらく黙り込んだ後で、
「ならば……天使になりませんか?」と言った。
「て、天使に…なる…?そんなことできるのか?」
「ええ、我々も元は常世の魂でした。どうです?あなたのその心は…天界に大きな革命を起こしそうです。天使となれば、村の奴らを裁くこともできますし、妹さんとももう一度会えるかもしれません。」
奴らを裁ける……そんなチャンスは二度とない。
「なるよ…天使に!どうやったらなれるんだ!」
「私と一緒に天界に行き、手続きをしましょう。手続きを終えた瞬間から、あなたは天使です!」
「………と、その前に私は列車にいる魂を見届けなければならないので、一緒に列車に乗ってください。」
私は列車に乗り込んだ。その時にアイツに、ルークリフに出会ったんだ。
お互いに気が合って、私は今から天使になるんだ、と彼に言った。
「いいな…天使だなんて偉い人がなるものだろう?」
「私はそんな純粋な心で行くんじゃないさ…そうだ、ルークリフも天使になろうよ!君と話していると楽しいし、向いていると思うよ!」
渋るルークリフをなんとか説得して一緒に天使にならせることができた。
最初に就いた仕事が魂を裁く仕事ではなかったから、だんだんその記憶がなくなってしまったんだ。
そうか、君はあの青年だったんだな、アルハイム。全然気がつかなかったよ。