店長が慌ただしく店に駆け付け、
冷たい目を向けながら入ってきた。

藤井君、いったいどうゆうことだね?

違います!あのロッカーは盗撮されていたんです。
だから、それを取ろうとして更衣室に入ったんです!

それは君が仕掛けたカメラだろう

違う!あれは佐々木と森井が
三井さんのロッカーに仕掛けたんです!

まったく、
人のせいにするつもりか

そんな!!

君も長くこの店で働いてくれたんだ、今回は警察にも
本部にも報告はしないでおくよ。これは店の評判に関わるからな

ちょっと待ってください!警察にちゃんと調べてもらってください!
カメラの出どころを確認すれば、僕じゃないことが分かるはずです!

困るんだよ、そんなことでマスコミにでも知られたら。

この店の信用がガタ落ちする。
だから、藤井君は明日
退職願いを出してくれ

もうこれ以上問題は起こしたくないんだ

店長!

もう帰ってくれ

守は無力感に包まれながら店長室を追い出された。

どうしようもなく、守は荷物をまとめ、
従業員の冷ややかな視線を感じながら歩いた。

誰もが彼を疑い、軽蔑の眼差しを向けている。
佐々木と森井はとっくに
盗撮データを消しているだろう。

守がカメラを持っていたところを
見られてしまった以上、
もうどうにもならなかった。


自分が変な勇気を出したばっかりに…

いつものように何もせず、何も見ずにいれば、
こんなことにはならなかったのに。

何もしないことが正しかったのかもしれない。

だが、その「何もしない」が昨日の
天城の言葉に重なり、
今の状況をますます苦しくさせた。

守がアパートに戻ると、いつものように
猫のフクが出迎えてくれた。

しかし、

守はフクの愛らしい鳴き声も耳に入らず
無言でその場にへたり込んだ。

全てが終わった気がした。

心の中は重く沈み、瞳には涙が浮かんでいる。

ぼくって…紗良ちゃんから見たら犯罪者になるのかな…

守は、かすれた声で呟き、涙が頬を伝った。

その日はゲームにもログインすることなく

一睡もできないまま朝を迎えた





退職届をカバンに詰め、
早朝の静かな街に向かって歩き出す

誰にも会いたくない、誰にも顔を見せたくない。

早朝なら、知っている人はいないはず。

人目を避けるように、守はスーパーへと急いだ。

店に着くと、まず自分のロッカーを開け、
忘れ物がないか確認する。

忘れ物はないか

パタン

守さん?

天城君・・・

天城くん

こんなに早いの珍しいですね

そうか天城君は昨日休みだったな

守さん、実は紗良がストーカーにあってるらしいんですよ。
朝、家まで見に行ってきたんです

紗良ちゃんがストーカーに…?

守は一瞬息を飲んだが、
すぐに心を無にしようと努めた。

もう自分には関係ない話だ。

今さら何をしても、状況は変わらない。

黙ったまま、ロッカールームを出た

あれ?紗良のこと
好きでしたよね?

ど、どうして
それを知っている!?
もしかしてボクを疑っているのか?

紗良がバイトから帰る時間や、
バイトに行く時間まで知ってるってことは、
多分、シフトを知ってる人間だと思うんですよ。守さん、協力してくれませんか?

ボクを疑ってるんじゃないのか…ほっ

すまん。協力はできないが、
佐々木と森井だけには気をつけろよ

守は店長室に入っていった

なんで店長室に?

店長室に入ると、守は机の上に退職願を
静かに置いた。

心の中は空っぽだった。

ふーっとため息をつき、部屋を出ようとしたとき
ふと、昨日のことが頭をよぎる。

そういえば、あのカメラ、どうなったんだろう?

守は店長の机の周りを見回したが、
それらしきものは見当たらなかった。

まさか、捨てられたのだろうか?

もしそうなら、このままでは真実は消えてしまう。

守は思わず、ごみ箱を覗き込んだが、
何も見つからなかった。

警察にも、本部にも報告しないと言っていた店長。

証拠のカメラはすべて捨てられたに違いない。

証拠が…消されてる?

守は衝動的にごみ捨て場へと急いだ。

まだ回収はされていない。

冷たい朝の空気の中で、守の心は混乱し、

絶望と希望が入り混じる。

こんなことして
意味があるのか?

ガサガサ

ゴミ袋の中に手を突っ込み、探り続ける守。

その心の奥底には、微かな希望が残っていた。

もし、この手で真実を掴めるなら、再び
立ち上がることができるのだと信じて。

つづく