俺は碧の手を掴み、走って図書室を出た。



わたしの……魂を?





ええ。別に痛くないわよ?一瞬で終わるから――





丁度小学生の魂が欲しいって言う依頼があってね、結構高額な額を出すって言うから、今持ってるどちらかを渡そうか悩んでたんだけど…





あなたの魂でいいわね!それじゃ、大内桜子と城ヶ崎麗花の魂を渡すから――





さ、桜子ちゃんっ!?


俺は碧の手を掴み、走って図書室を出た。



桜子っ、待て!


麗花も後から走って俺を追いかける。



待て桜子!一度止まれ!





なんで止めんだ!手ぇ離せよ!!





……碧が本当に死んでもいいのか





なっ――





はぁ……はぁ……


碧を見ると、息が切れ辛そうに顔をゆがめていた。



そうだ、碧は身体が弱いんだった…!





…すまん、碧!俺っ……





大丈夫だよ。疲れやすいだけだから、ちょっと休憩したらまた元気になるし





桜子ちゃんはわたしを守ろうとしてくれた、むしろわたしがお礼を言うくらいだよ





碧……





虫が良すぎるのよねぇ





品川…!





咄嗟に逃げたのはいいと思うけど、あなたたち今女子小学生なのよ?自覚してる?
小学生の足に大人が全然追いつけないわけないわ





あなたたちは桜子と麗花を元に戻したいの?それとも碧に生きてて欲しいの?





どちらもなんて…わがまま言わないわよね?





……





そもそも桜子と麗花は自ら望んでこの世から身を引いたのよ?
そしてあなたたちは運のいいことに死んで終わりだった人生が、転生によってさらに長生きできるようになったのよ?





これってどちらも得でしかないじゃない。あなたたちが他人のためにそんなに必死になる理由って何?





――まず一つ言わせてもらうと、俺たちは他人じゃねぇ





あぁそうだ。この身体になった以上、他人呼ばわりは出来ないな





それに、桜子と麗花がいなくなって本当にいいと思ってるわけねぇだろ!!





子供は特に、嫌なことがあると逃げ出したくなる





逃げ出して、間違うことがある





子供の内は何度も人生の壁にぶつかって、それを少しずつ乗り越えて成長していくものなんだ





そんで、本当にわからなくなって諦めかけた時――大人の俺たちが、手を差し伸べてやるんだろ





――リサ。





君は本当にすべきことだったのは――桜子と麗花を転生させるんじゃなく……二人の話をよく聞いてあげることだったんだ





……はは。なるほどね……





あなたたちって、ほんとお人好しね





――でも





碧の魂は抜かせてもらうわよ





うぐっ……





――あ





碧っ!!!


