13.現状

私

くぅ~・・・疲れたぁっ!

特訓が一段落して、
私と芹ちゃんは図書館へと戻った。

いや、芹ちゃんが戻した。

芹

お疲れ様、かなり進歩したね

私

んふふっー、私ってば天才なのかも

最初は難しいと感じたけれど、
やればやるほど上手くいくようになっていった。

芹

ふふっ、確かに天才かも

私

でしょでしょー

どうしてこんなに上手くいくのか、
自分でも不思議なくらいだ。

でもそれが今の自分に
必要なことであることは間違いないので、
もっともっと上達していきたい。

私

それにすっごく面白いね

本当に魔法みたいだし

そしてそこに楽しみを見出せているのは、
良い傾向なのではないだろうか。

芹

その気持ちは分かるよ

私も初めての時は
無駄にはしゃいじゃったし

はしゃぐ芹ちゃん・・・それは見てみたいな。

私

きっと可愛いんだろうなぁ

芹

さて、
それじゃあ茜さんについての
話をしようと思うんだけど、
いいかな?

私

茜ちゃんの?

芹

うん

茜さんの夢に介入する以上は、
知っておいた方がいいと思うの

私

なるほど・・・それは是非知りたいかな

どういう話かは想像できないけれど、
知っておくべきなのは間違いない。

芹

分かった

それじゃあ、話すね

茜さんの現状とか、
白髪鬼が何かとかを

私

白髪鬼・・・か

どういうものかは分からないけれど、
言葉の響き的に
あまり良いものではないのは分かる。

芹

まずはそうね、
白髪鬼について話そうか

白髪鬼っていうのは、
字面の通り白い髪の鬼を意味しているわ

私

まんまだね

芹

ええ、まんまよ

ざっくり説明すると、
白髪鬼と呼ばれる鬼が
天災として世界を巡り、
虐殺の限りを尽くすお話

私

む、無茶苦茶物騒だね・・・

芹

ちなみに同じタイトルの
作品が実在するけど、
関係はないみたいよ

私

白髪鬼ってタイトルの本を
読んだことあるの?

芹

うん

私はそのタイトルに聞き覚えがないので、
きっと本を読まない奴だったのだろう。

それに引き換え
芹ちゃんはなんて博識なのだろうか!

芹

どの時代をモデルに
しているかは分からないけど、
とにかく片っ端から
人が死ぬ描写があるわ

私

スプラッタ作品かな?

芹

映像化したらまさにそれね

笑っているけど、実際の所は笑い事ではない。

だってそんな物騒なものに、
茜ちゃんは囚われてしまっているのだから。

芹

話のオチとしては、
その世界から白髪鬼以外が消えて終わり

私

その消えるっていうのは、
白髪鬼が殺して、って意味だよね?

芹

そういうことになるわ

それを聞いて、
嫌な予想が脳裏を過ぎった。

私

もしかして茜ちゃんの夢に
人が誰も居ないのって・・・

芹

あなたの考える通りだと思う

白髪鬼からの侵食によって、
茜さんは人を殺して回る夢を
見せられたんじゃないかな

だからその結果、
あの世界には茜さんしか存在しない

私

待って

その言い方だと最初は
茜ちゃんに意識があったってこと?

どうしても気になって、
聞いてしまった。

芹

もちろんあるわ

私

じゃ、じゃあ、
茜ちゃんは意識ある状態で、
自分が人を殺して回る悪夢を
見せられたっていうの?

芹

全部私の予想だから
本当かは分からないけど、
その可能性は高いと思う

私

だとしたら、
あんまりだよ

茜ちゃんの人柄は知らないけれど、
確かにあそこに存在していた茜ちゃんが、
そんな酷い目に遭っていただなんて・・・。

芹

あなたを助けた時、
あの夢にはもう
茜さん以外の人は居なかったわ

それはつまり、
それだけ侵食が進んでいるってこと

だからもうあんまり時間がないの

茜さんの自我が完全に消える
のも時間の問題だと思う

私

き、消えるとどうなるの?

芹

夢を本に乗っ取られる

私

乗っ取られると・・・どうなるの?

芹

その夢に根付いて、
次の相手を探し始める

そうなったらもう、
私達は干渉できなくなる

私

で、でも、
さっきやったみたいに、
本を破いてそれを鍵にすれば

芹

誰かの夢に根付いた本は、
ここから消えるわ

そうしたらもう追えないし、
その後どうなったかすら
分からなくなる

まぁ
自我が消されているのだから、
良い結果には
なっていないと思うけど

確かに話を聞いた限りでは、
その結末が良いものであるとは到底思えない。

私

で、でも・・・
助けられるんだよね?

現に芹ちゃんは
茜ちゃんを助けようとしていたはずだ。

それはつまり、
その手段があるということで・・・。

芹

うん・・・助けられる

その為に私は、ここにいるんだから

私

それは、どうやって?

芹

それはね――

それを聞いた私は、
その意外な方法に・・・心底驚くのだった。