天正十年 五月二十一日
安土城 大広間
天正十年 五月二十一日
安土城 大広間



それでは、行ってまいります、上様





うむ。しかと励め





…ときに、上様。先日の件、誠でございましょうな?





偽りない。その方が発ったあとは、儂が丹波へと入る。その方は後顧憂うことなく、毛利の地を手にして来るがよい





はっ…仰せのままに


信長様、やっぱぱねぇよ!
出陣なさる光秀様の領地を召上げるなんて…なんて気合いの入る激励なんだ…
バッカ、違うだろ。
いつもの光秀様イジメだよ



あれ、なんか儂、またぷろでゅーすされた?





滅相もございません(ニヤリ)





ぐぬぬ…





しからば!これにて!





う、うむ。では、軍議を終わる。解散じゃ





はっ!





上様、お話は終わりましたかや?





あ…う、うん、終わったよ濃姫





濃姫などと、他人行儀ではございませぬか。いつものように帰蝶とおよびくださいませ





いや、その…ね、ほら、まだ家臣も残ってるし、ほら、蘭丸いるし





ふん、小姓など、いてもいなくても同じようなものです





イラッ





こらこら、そんなこと言うんじゃない





ならば上様は妾とその貧相な小姓とどちらが大事かや?





信長をチラッ





えっと、いや…その、ね…?





はっきりせぬは男の恥でありまするぞ





うん、ごめん…





それより、上様。先ごろ、例のアレが届いたとうかがっておるのですが…





あ、そ、そうそう!今さっき儂の部屋に運び込んでおいたから先に行ってあけておいていいよ。儂もすぐ行くから





誠でありますかや!行ってまいります!





…





…ふぅ





信長様





ん、なに、蘭丸?





この蘭丸、信長様のことをお慕い申し上げております





あ、うん…ありがと





なんとなれば、この身が憎らしい!もし女人に生まれていたのなら、この蘭丸、信長様とのかわいいやや子を…!(ギリィッ)





あ、あ、うん、そう、そうだね、そうだったらいいのになー。あ、そうだ、家康待たせたまんまだった。儂ちょっと行ってくるねー(イソイソ)





お供します!





い、いや、いいから!一人で大丈夫だから!





なりませぬ!この蘭丸、いかなる時も信長様のおそばにおりまする!たとえそれが信長様の死するときでも!





う、うん、あ、ありがと





うぅ、濃姫と会うと蘭丸が怖いんだよなぁ…


