私はついつぶやいた。だって、目の前にあるイイユメツールが、どう見てもちくわにしか見えなかったから。
今回悪夢を解決しに来たのは、小学生くらいの男の子、その夢の中だ。男の子は体育座りをして、真っ暗な世界でひとりぽつんとしていた。



本当にこれがこの夢のイイユメツールなの?





……そうみたいだね


私はついつぶやいた。だって、目の前にあるイイユメツールが、どう見てもちくわにしか見えなかったから。
今回悪夢を解決しに来たのは、小学生くらいの男の子、その夢の中だ。男の子は体育座りをして、真っ暗な世界でひとりぽつんとしていた。



お姉ちゃんなんて嫌いだ、大嫌い、死んじゃえ


どうやら男の子はお姉さんとケンカでもしたらしい。それが影響して悪夢を見ているようだ。



どうする、このちくわ?





僕に聞かれても


チーシャがさじを投げる。私は仕方なく、男の子に向かってちくわを差し出した。



はい、これ





……これは


男の子はちくわを受け取ると、それを一口かじった。



懐かしいな。仕事でお母さんの帰りが遅くなった時、どうしてもお腹が空いちゃって。それで冷蔵庫に入っていたちくわを、お姉ちゃんと半分こしたんだ


すると男の子の目から涙が流れる。



お姉ちゃんだってお腹が空いてたはずなのに、僕にちくわを半分以上くれたんだ。お姉ちゃんはいつだって優しいのに、僕は


今まで真っ暗闇だった夢の中に一筋の光がさす。



お姉ちゃん、ごめんなさい。ありがとう


こうして男の子の悪夢は晴れ、そのまま深い眠りへとついた。



ちくわで解決しちゃったね





うん、ちくわで


私はチーシャと共にその光景をア然としながらながめていた。
