


ゲージ技、それは勝利への架け橋……





え、何? 何スか急に。これ導入?





ゲージ技、それは起死回生の一打となり得る不屈の炎……





あ、まだ続くんスね





ゲージ技、それは無明の闇(体力差)を覆す為に放つ祈りの顕現……





ほーら前回から練習して昇龍コマンドもバッチリっスよ。バッチリ





ゲージ技、それは漢(おとこ)の浪漫……!





ゲージ技、それは……





あの、SEがかぶってるんですけど……





あ、終わったっスか? じゃあ本題に入りましょうっス。今回は『ゲージ技』についてっスね





話を展開させて私の前口上を流す……さすがだムツミ君





『ゲージ技』ってそもそも何っスか?





あ、徹底的に無視していくスタイルなんだ。……まぁいい。ゲージ技とは、その名の通りゲージを消費して繰り出す技だ





というと?





格ゲーの画面におけるゲージ……種類はタイトルによって様々だが、大体どのタイトルにもあるゲージが二つ。『体力ゲージ』と『超必ゲージ(仮称)』だ。『超必ゲージ』は一定時期以降に発売されたタイトルには大体ある、と言った方が正しいかな





体力ゲージは自分と相手の体力の残量を示すゲージっスよね? それがゼロになると負け





うむ。格闘ゲームは基本的に相手の体力ゲージを、様々な手段を駆使してゼロにし、勝利を得ることが目的だ





で、『超必ゲージ(仮称)』というのは?





ああ。前回『波動コマンド』『竜巻コマンド』『昇龍コマンド』に代表されるコマンド入力を行うことで繰り出せる『必殺技』の解説をしただろう





ド ヤ ァ





昇龍コマンドできてうれしいのはよくわかったよムツミ君





超必ゲージとはつまり『超必殺技』……『必殺技を超える必殺技』を出す為に使用するゲージのことだ。このゲージを超必殺技を出す以外の用途に使うタイトルもあるが今回は触れない。『超必殺技』は『ゲージ技』とも呼び、今回はこちらで呼称する





何かよくわかんねーけど、超強そうっスね……!





そう、『ゲージが溜まっている』という特定状況下においてのみ発動可能(更なる条件が必要になる場合もある)な技であるからには、コマンド入力すればいつでも発動できる必殺技より強力なものが多いのだ





へー、どんな技があるっスか?





毎度使用する枕詞で申し訳ないが、これもタイトルとキャラクターによって千差万別だ。必殺技を強化したような性能のもの。全く別の攻撃方法による技。自キャラクターの性能を引き上げる技。逆に相手に何らかの制限を課す技等々……





とにかく出してみた方が早いってことっスね!





だな。では、前回に引き続きそのキャラを使ってゲージ技を出してみよう。……と、その前に下準備を。トレーニングモードのメニュー画面を開いてくれたまえ





トレーニングモードの設定ができる画面っスね。スタートボタンをポチっとな





これも設定できるタイトル、できないタイトルがあるが、超必ゲージを常にマックスにする(ゲージ技を出せる状態にする)、という設定ができるタイトルは多い。対戦中では不可能な、ゲージ技を連続で出すという行為が可能だ





そういえば超必ゲージが満タンじゃないとゲージ技が出せないのはわかったっスけど、超必ゲージってどうやって溜めるっスか?





これは格闘ゲームに限らず、何かしらと『戦う』ゲームをプレイする方ならピンとくると思うが、超必ゲージは攻撃を当てる、またはダメージを受けることで溜まることが多いぞ





あー、アクションゲームなんかでもあるっスね





往々にして相手に攻撃を当てた時の方がゲージ上昇率は高いことが多い。被ダメージでしか溜まらないゲージ、というものもあったりするがね。ともかく相手にトドメを刺す時や一発逆転を狙う時など、ここ一番で使用する大技なのは確かだ





で、トレーニングモードではそのゲージを溜める手間を省いて練習ができるってことっスね。便利な世の中になったもんっスねー





ムツミ君、君いくつなの……まぁいい。ではそのキャラのゲージ技を出してみよう。コマンドは↓↘→↓↘→+攻撃ボタンだ





!?





うむ、大方予想通りの反応だ





コマンドが難しくなってるっス!





そうだな。ゲージ技はコマンドが必殺技よりも難しいことが多い。レバー入力は必殺技と同じで、ボタンを二つ同時押し、というコマンドのゲージ技も増えているが今回は『複雑なコマンド』にも注目していきたい





小癪な~……。長くなっているとはいえ、見た感じ波動コマンドを二回繰り返してから攻撃ボタン……、波動コマンドをマスターしている私にとっては決して不可能ではないはず……えりゃっ





ぐぬぬ……





とまぁ最初からうまくはできない。複雑なコマンドの技は確かに出すのが面倒だ。しかしだからこそ、『出すだけで』ある種の達成感を得られる





せいやーっ!





おお~! 出たっス! 波動コマンドの必殺技が強化したような技が! ダメージもスゴイ!





そう、ゲージ技は強力だ。また画面暗転やカットインの挿入などの演出があり熱い戦いをさらに白熱させてくれるのだ





ムツミくんのようにガチャガチャ動かしているとまぐれで出ることもある





まぐれじゃないっスよ! それっ!





(´・ω・`)





大切なのは反復練習して確実に出せるようになることだな





こんなのすぐにカカッと出せるようにしてやるっス! カカッと!





よろしい。ではムツミくんが練習している間に、ゲージ技のコマンドの中で代表的なものを、私の独断と偏見でいくつか紹介しよう。ゲージ技については、威力や性能、演出が本当に多岐に渡るため、コマンドの種類による技特性の傾向は一概には語れない。そのためコマンドを紹介するに留めること、ご了承いただきたい





また、左右反転しただけ(↓↘→↓↘→+攻撃ボタンに対して↓↙←↓↙←+攻撃ボタンなど)のコマンドは割愛させていただく





まずは今ムツミくんが練習している↓↘→↓↘→+攻撃ボタンのコマンド。波動コマンドを二回繰り返してボタンを押すコマンドだな。これも波動コマンドと同じタイトルのゲージ技に由来する『真空波動コマンド』などと呼ばれることが多い。





豆知識として。真空波動コマンドを入力すると、真空波動コマンド、波動コマンド(↓↘→)、昇龍コマンド(→↓↘)の三つの要素が成立することになる。プログラム的なものだが、コマンドには優先順位が設定されており、成立したコマンドの中で優先順位が高いものが発動する仕組みだ





基本的に複雑なコマンドほど優先順位が高いことが多い。真空波動コマンド内で、波動コマンドや昇龍コマンドが優先されてしまったら真空波動コマンドのゲージ技は出せないからな





私は開発者ではない為、体感でしかないが波動コマンドと昇龍コマンドならば昇龍コマンドが優先されることが多いと思われる。その為、真空波動コマンドをきっちり入力しないと……





うぐぐ、何で昇龍コマンドの技が出るっス……!?





このように昇龍コマンドの技が暴発してしまう





また、真空波動コマンドに類似したゲージ技のコマンドとして、←↙↓↘→←↙↓↘→+攻撃ボタンというものがある。レバー半回転を二回、と覚えると感覚をつかみやすいだろう。真空波動コマンドより長い分、素早い入力が求められることが多いものの、コマンドの特性上、昇龍コマンドの必殺技は暴発しにくいぞ





では、次のコマンドだ。次は→←↙↓↘→+攻撃ボタン。これはゲージ技、という概念が初めて登場したタイトルに登場するコマンドだ。ゲージ技の始祖と言える





『レバーを前に倒してから半回転』という感覚で入力すると良い。複雑なレバー入力が要求される技全般に言えることだが、レバー入力の軌跡を『線』で意識すると入力しやすいかもしれない。実際、一部のコマンド表はレバーの動きを線で表現しているものもある





逆に『半回転してからレバーを前に倒す』……つまり→↘↓↙←→といったコマンドもある。一度軌跡を覚えてしまえばさして難しいものでもない。





そしてコレ。『レバー二回転+攻撃ボタン』





このコマンドについては、多様な性能を持つゲージ技の中でも珍しいことに『投げ技』、つまりガードできない技に用いられることがほとんどだ。『投げ技』について詳しく知りたいそこの君!





各自調べてくれたまえ





『対戦しない格ゲーの楽しみ方講座』なので、格ゲーの要素を全て網羅しようとすると主旨が変わってきてしまうのでな。申し訳ないが





気を取り直して。このコマンドはクセモノだ。何せレバーを回転させるということは↖↑↗の要素が入ってくるわけだ。このコマンドの簡易版、『レバー一回転』は実の所←↙↓↘→←といった入力でも成立することが多いが、レバー二回転はそう甘くはない





↖↑↗……つまりレバーの上要素を入力すれば、キャラクターは自ずとジャンプしてしまうのだ。そうなると空中発動が可能なゲージ技でもない限りは単に空中通常技が出てしまう(空中発動可能な必殺技があればそちらが暴発する可能性も)





このコマンドをうまく成立させるには少々工夫が必要だ。一番簡単なのは『ジャンプ中にレバーを二回転させ、着地と同時に攻撃ボタンを押す』という方法だな。まずはこれで練習するといいだろう





その他には『バックステップ中に仕込む』。素早くレバーを二回後方に入力するとキャラクターがバックステップをするタイトルで可能な手法だ。バックステップが終わる瞬間に攻撃ボタンを押して発動させる。ジャンプ中に仕込むのより猶予時間が圧倒的に短く、レバーの操作が忙しいため難易度は高めだ





ただしこのレバー二回転+攻撃ボタンのゲージ技を持つ、いわゆる『投げキャラ』はステップの距離が長かったりステップ中の無敵時間が長かったりするため、『相手の攻撃をバックステップで空振りさせつつカウンター気味にレバー二回転+攻撃ボタンのゲージ技を当てる』といった芸当が可能だ





またこのコマンドで発生する投げ技系のゲージ技は非常に威力が高いことがほとんどだ。ここ一番で技を当てた時の達成感と爽快感はなかなか得難いものだぞ





まだまだ多くのコマンドがあるが、今回はこの辺りで





うお!?





うおおお!?





ムツミくんもちょうど脳の言語野の機能衰退と引き換えにゲージ技のコマンド入力を安定させたようだし





ともかくとして。ゲージ技は格闘ゲームの華とも言えよう。高い威力、性能の他、エフェクトや演出でプレイヤーを楽しませてくれる。難易度の高いコマンドにも果敢に挑み、様々なゲージ技を試してみてほしい。ではごきげんよう


