数分後……



格闘ゲーム、特に対戦をしないのであれば、やはり断然アーケードよりも家庭用のタイトルをオススメする





どうしてっスか?





『トレーニングモード』の存在だよ(プラクティスモード等呼称は様々)。非対戦格ゲープレイヤーにとっての聖地と言っても良い。最近のアーケードタイトルにはトレーニングモードが備わっているものも多いが、基本的には時間制限がある。時間は店舗側が設定できることになっているがせいぜい数分。じっくりと腰を据えてやるには少々物足りない。トレーニングモード中も他プレイヤーが乱入できる、というタイトルもあるしね





家庭用なら時間制限なんてないっスもんね





ああ、しかし一つ問題が





?





格ゲーのコントローラーと言えば『こういうの』を想像しないか?





ああ、『こういうの』っスね。ゲーセンのヤツ





家庭用ゲームでも別売りでアーケード風コントローラー(アケコン)を買うことは可能だが、まともな品だとおおよそ5000円以上が相場だ。金銭のかかる事なので、申し訳ないがこればかりは各自の判断にゆだねる他ない





普通のコントローラーでとりあえずプレイしてみて、もっとやってみたいって思ったら買う、って手もあるんじゃないっスかね





いいことを言ったなムツミ君。臨場感が楽しめ、アーケードの練習になることは確かだが、ゲーム機付属のコントローラーでプレイできないことは決してない。私も格ゲーをやり始めた頃はゲーム機付属のコントローラーを使っていた。アケコンを無理に使う必要はないさ





というわけでこれからは主に家庭用タイトルについて語っていこうと思う





ふむふむ





さっそくプレイ開始だ。





とりあえずトレーニングモードに入るっスね





言い忘れたがこの作品で特定のタイトルを扱うことは基本的にない。作品の特徴を挙げて匂わせるか、伏字を使って出す程度だ。そこの所はご了承いただきたい





と言いつつ格闘ゲームを語る上で欠かせないタイトル以外の固有名詞は多少使わせていただこうと思っている。





我々がプレイしている格闘ゲームは架空のものであるが、格闘ゲーム経験者はプレイ経験のあるタイトルを重ねてみてもいいし、未経験者はまだ見ぬ格闘ゲームに思いを馳せてほしい。





結構読者頼みっスね……





も、申し訳ない……。





では、気を取り直してゲームスタートだ





まずはキャラクターを選ぶんスね





これはもう好みで選んでくれたまえ。当然使いやすいキャラ、使いにくいキャラというものは存在するが、特に対戦しない場合においては好きなキャラでないと意味が無いからな





対戦すると『勝つこと』が楽しみになる人もいるから、使いやすいキャラ、強いキャラを使うのもアリっスけど、勝負をしないのであれば気に入ったキャラを使いたいっスよね





そう。当然見た目だけで好みが決まるわけでもないので、いろいろなキャラを触ってみるといいだろう。これが一つ目、『持ちキャラ』を決める楽しみだ。これは対戦をする人と共通ではあるがね





キャラがいっぱいいると悩んじゃうっスねー。あ、可愛い女の子もいるっスね





そう!!





!?





格ゲーには可愛い女の子がいっぱいいるんだよ!!





ヒッ





格 ゲ ー に は か わ い い 女 の 子 が い っ ぱ い い る ん だ よ ! !





う、うるさっ……





90年代、社会現象を起こした格闘ゲームに登場したかの有名な中華娘より始って以後、脈々と受け継がれた『戦う美少女(美女)』! これは絶対に、絶対に格闘ゲームを語る上で、楽しむ上で外せない要素なんだ! 強く! 美しく! 時に健気であり! 時に妖艶で! 我等の心をつかみ続けてやまない彼女らこそ……





とりあえず慣れるためにこの主人公っぽい男のキャラにするっス





チクショウ!





で、始まったわけっスが……





画面に二人のキャラが向かい合っているな。向かって左側が(1P側)、ムツミくんの操作するキャラクターだ。向かい側(2P側)に相手のキャラクター。こちらはCPUが操作している。操作していると言っても、何の設定もしてないので棒立ちしているだけ。まぁサンドバッグみたいなものだ





こう、レバーを倒すと動くっスね。上に倒すとジャンプ、下に倒すとしゃがむ。それくらいはわかるっス





十分だ。ではこのサンドバッグくんを相手にしていこう





ひどっ。まぁ技の出し方も知らないんで動かれても困るっスけど……





今何と?





え? 動かれても困るって……





違う、その前だよ





えーっと技の出し方も知らない、って……





それだ。楽しみ二つ目、『技を出す』。ムツミくん、格ゲーにおける技の出し方を知っているかね?





格ゲーの技って言うと、レバーをこう、ガチャガチャっとやってボタンを押すと出るっスよね?





正解だ。厳密に言うとコマンド操作が必要な技は(これも呼称は様々あるが)『必殺技』だ。攻撃に対応したボタンを押すだけで出せる『通常技(通常攻撃)』、レバーを一定方向に入れながらボタンを押すと出せる『特殊技』(存在しないタイトルもある)も技の範疇に含まれる。が、それは追々やっていこう





何で後回しなんスか?





地味だからだ





えー……





通常技、特殊技は例えCPU相手の対戦においても重要な意味を持ち、それぞれの役割を把握するに越したことは無い。が、とりあえずそんなものは後回しでいい。最初はかっこよく派手な必殺技を出してウッヒョーってなるのが先決なんだ





ウッヒョー…………





では必殺技を一つずつ出していこう。スタートボタンでメニュー画面を開き、コマンドリスト(技表)を呼び出す(通常対戦画面からボタン一つでコマンドリストを呼び出せるタイトルもある)。一番上に書いてある技を出してみたまえ





えーっと、コマンドは↓↘→+攻撃ボタン、とあるっスね。





格ゲーにおいて最もポピュラーなコマンドだな。レバーの動きは236と表記されることも多い





236?





レバー入力の方向を、テンキーの数字に当てはめて表記する方法だ。↓が2、↘が3、→が6といった具合にな。インターネット上の格ゲー情報を見る時、多くの個人サイトやwikiではこの表記方法が採用されているため覚えておいて損は無いぞ





なるほど。レバーを順番に、矢印の方向に倒してボタンを押すっスね





その通り。またこのコマンドはキャラクターが右を向いている時のものだ。相手と位置が入れ替わって左を向いたときは逆、つまり↓↙←と入力する必要がある。左右がごっちゃになると別の技が暴発してしまったりするから注意だ





ほいほいっと。では早速……おりゃっ





おー出た出た。出たっスよ、何かこう、弾が





そう、この↓↘→コマンドこそ、かの有名な『波動コマンド』だ。『波動コマンド』で出る技は、飛び道具が多い。遠距離から相手を攻撃できる





おりゃー おりゃー





せ、説明を続けよう。『波動コマンド』は『竜巻コマンド』、『昇龍コマンド』と合わせて格ゲーにおける三種の神器的なコマンドだ。ちょうどこのキャラクターはこれらすべてのコマンドに対応した技を持っている。『竜巻コマンド』の技を使ってみよう





竜巻コマンドはどんなコマンドっスか?





簡単に言えば波動コマンドの逆だな。先程説明した、キャラクターが左を向いた時の波動コマンドだ。つまり↓↙←+攻撃ボタン、と入力する。これもキャラクターが右を向いているときのものであり、左側を向いた時は逆、波動コマンドを入力すると竜巻コマンドの技が出る





え、竜巻コマンドの逆を向いて波動コマンドの技が……? 波動コマンドを入力すると竜巻コマンド……???





こういう場合論理立てて理解するより慣れた方が早い。あえて言うなら、一度下に入力し、その後キャラクターが向いている方向にレバーを倒しこんでいくのが波動コマンド、キャラクターが向いている逆方向にレバーを倒しこんでいくのが竜巻コマンドだ





ちょ、最初っからそう説明してくださいっス





いいから竜巻コマンドの技を出してみたまえ





走ってぶん殴ったっス





今更だけどムツミくん、結構物騒な言葉づかいするよね





あん?





いや、何でもない。『竜巻コマンド」の技は、キャラクターが前方に突進していく技が多いぞ。相手に近付くことができるのでそこから接近戦に持ち込むことが可能だ。相手に近付く分、当然リスクもあるがね





で、最後に『昇龍コマンド』っスか





そう、『昇龍コマンド』。あの『昇龍コマンド』だよムツミくん





いや、『あの』とか言われても知らないっスけど。どんなコマンドっスか?





コマンドは→↓↘+攻撃ボタンだ





見た感じ波動コマンドと似たようなもんっスね。どれどれ……えいっ





あれ? えいっ、えいっ





おかしいっスね。波動コマンドの技や通常技が出ちゃうっス。あ、次はジャンプしちゃったっス。っていうか→↓↘ってどうやって入力するっスか……? 一回右に倒して、そこから下に……???





とまぁ、最初はみんなこんな感じになる





私をサンプルに使わないでほしいっス!





そう怒るな。とにかく昇龍コマンドはシンプルながら奥が深い。熟練のプレイヤーですら、いざと言う時に出せず涙を呑むことも少なくはないのだ。その分、技を出せた時、昇龍コマンドの技をゲーム中で活用できた時の感慨はひとしおだ





ちょっと出せないのが悔しいので練習するっス





おお、いいぞムツミくん。昇龍コマンドの伝統的な練習方法として『歩きながら波動……





あ、自分でコツつかみたいんでちょっと黙ってくださいっス





ごめんなさい


数分後……



おっ?





おおっ?





出せる! 出せるようになってきたっスよ! オラァ、アッパーでアゴ骨と奥歯を粉砕してやるっスー





物騒な言葉づかいは置いておくとして、コツをつかんできたようだな





ついに『昇龍コマンド』を習得してやったっス





ここで説明しておくと、昇龍コマンドの技は『無敵対空技』が多い





むてきたいくー?





対空、上からの敵を迎撃するのに向いているということだな





ああ、アッパーで上に向かって攻撃してるっスからね。『無敵』っていうのは? 急にめちゃ強そうっスけど





うむ、使い方を極めればめちゃ強い。『無敵対空技』の無敵とは、その名の通り技の出がかりに無敵時間、つまり相手の攻撃を受けない時間があることを指す





ほうほう





たとえば波動コマンドの飛び道具を出す。しかし相手はジャンプでそれを飛び越え、上から攻撃を仕掛けてくる。そんな時に無敵対空技である『昇龍コマンド』の技を出し迎撃するのだ





なるほどー、相手が攻撃してきた時、こちらが無敵時間なら相手の攻撃を受けずに反撃できるってことっスね





理解してきたようだな。昇龍コマンドはその特性上、上空に向けて攻撃するモーションが多いぞ





ふっふーん♪ もうどのコマンドの技でもどんとこいっスよ!





よろしい。ならば2P側で『昇龍コマンド』を出してみよう





2P……側……?





今は自分の操作するキャラクターが右を向いているが、相手との位置が入れ替わった場合当然キャラクターは左を向く。波動コマンド、竜巻コマンドで説明したとおり、コマンド入力が逆向きになる





つまりキャラクターが右を向いているときは→↓↘+攻撃ボタン、が左を向いているときは←↓↙+攻撃ボタン、になる、と……





うむ





いやー、まさかそんな。逆になった程度でそんな。拳を極めた(誇張)私がそんな。『昇龍コマンド』を出せないとかそんな……そいっ





WTF!?





一つ注意として今回紹介した『波動コマンド』『竜巻コマンド』『昇龍コマンド』の技の特性は最も一般的であろうものをピックアップしており、技の特性、効果はタイトルやキャラクターによって様々であることに留意されたい





また通常攻撃が!





次回までに練習しておくように。次回は『ゲージ技』について触れようと思う





なぜ出ない! なぜ出ない! アッ、指、指を攣って……!?





ではまた次回


