私たち夫婦が再婚した時、子供達はみんな小さかった。
子供達が小さいという事もあったから再婚に踏み切った。
きっと、みんなで成長できるだろう、そう思ったからだ。
継子と暮らし始めてから、私たち3人(私、実子2人)の生活は一変した。
とにかくやって来た継子が凶暴だったからだ。
私達だけでなく、夫と継子の生活も一変したと思う。
急に家族が増えたり兄弟が増えたんだから。
この5人の中で環境の変化をもろに受けたのは継子だと思う。
育ての親である祖母と離れて暮らす事になったんだから…。
まだ小さいのに。
子供たちはすぐに仲良くなった。
私の連れ子2人は割と穏やかな方だ。
だから、小さな継子に噛みつかれたり、おもちゃを壊されても許してあげて仲良くしていた。
でも言わないだけで、すごく我慢していたと思う。
継子は我慢が全くできない子だった。
我慢をしないといけない場面では泣き叫び暴れる。
うるさくて上の2人はよく耳を手で押さえていた。
そして継子は、上の子が大切にしているものを盗ったり隠したり壊したりする。
上の子2人は何度も泣いた。
今もそう。
継子はだいぶ大きくなったけど、やっぱり盗み癖は直らない。
上の子のものを盗ったり食べたりする。
でも、2人とも継子の事をすぐ許してあげている。
きっと継子にとって上の子の存在は、すごく良い影響があるのではないかと思う。
私が継子に冷たかったり厳しかったり無関心だという事を子供達2人は気付いていると思う。
気づかないわけがない。
私はせめて自分の子供の前では良いお母さんでいたいし、いるべきだと思うのに、それすらできない情けなく最低な母親だ。
先日、上の子に聞いてみた。
ただ純粋に思った事を聞いてみた。
「継子の事だけど、本当の弟だと感じる?」
すると上の子は激怒。
「ママは最低!継子を区別するな!そんな質問に答えたくない!自分の中で、継子もパパも家族だと思ってる!」
私の中で継子は私の子供ではないとはっきりと感じていたし、そんな事を思うことは悪い事だとも思っていなかった。
産んでないし、私の子供じゃないと、呪文のように毎日自分に唱え続けていた。(今もそうだ。)
だからきっとそんなデリカシーのない質問を上の子にしたのかもしれない。
上の子は怒っていた。傷付いたのだと思う。
そして、はっきりと上の子と私には家族に対する思いの温度差が出来ていると感じた。
上から2番目の子は継子を嫌っている。
でもそれには理由がある。
ことごとく嫌な事をされてきたからだ。
「マジで性格悪い」
そんな事を言う。
でも、外で遊ぶ時や自分の友達と遊ぶ時は仲間に入れてあげている。
学校でも助けてあげたりしている。
血の繋がりがないから嫌いというより、純粋に継子の性格が嫌なようだ。
「ママ、あの子が弟なの時々恥ずかしくなる。学校で暴れてた…」
そんな風に愚痴る。
年が近いから嫌な思いをたくさんしてるんだと思う。
子供達2人はこの家族とこの環境を受け入れて馴染んでいるように見える。
私達夫婦2人は未だにこの家族に馴染めていない。
継母と継父のままだ。
自分の子以外の子に興味や関心を持たない。
持たないし、持てない。
継子はどうなのだろう。
私の事は心底嫌っているように見える。
でも本当はどうか分からない。
本当は認めて欲しい、さみしい、と思っているのかもしれない。
でも意識して私は考えないようにしている。
考えるともっと苦しくなるから。
上の子2人もこのいびつな家庭を大人になった時に振り返り、胸を痛めたり親を軽蔑したり、心に傷を負っていた事に気がつくのかもしれない。
そして、それは継子も同じだろう。
子供にとって家庭や学校は居場所の全てだから、たくさんの事を当たり前の事だと受け入れているんじゃないか。
私も子供の頃にそうだったから。
私は大人になった実子2人と継子に憎まれる母親になるのかもしれない。
憎まれて当然だろう。
人を憎むのはすごく苦しく辛い事だから、子供達にそんな苦労をかけたくない。
分かってるんだけど、立派に生きられない。
強く生きられない。
迷いなく輝いている人を見ると眩しくて目を瞑ってしまう。