昔々――
東の地、砂漠のとある城でのこと。
昔々――
東の地、砂漠のとある城でのこと。
旦那さま、旦那さま!
何だ、一体何の用だ?
城の前に商人が来ております。
いかがいたしましょう。
商人だと。どうせ宝石だの衣装だの、愚にもつかぬ品を持ってまいったのだろう。つまらぬ客だ、追い返せ。
いえ、それが…
商品は、書物なのでございます。
何、書物とな?
それも、西方より運ばれた稀覯書(きこうしょ)だとか…
砂漠を越えた、はるか西の地か。
知識は金貨にもまさる宝。それも西方の書物となれば、かの地について知る、めったにない好機やもしれぬ。
興味がわいた。連れてまいれ。
かしこまりました、旦那さま。
御前に参る機会をいただき、恐悦至極に存じます。
ご覧ください、これら書物を!
栄えある詩歌、絢爛な物語、貴重な知識の宝庫でございます。
興味深いな。
む? その赤い表紙は?
おや、その本がお気に召しましたか?
西方の文字で書かれておりますが、聡明で博識な旦那さまですから、翻訳は不要でございましょう。
気に入ったなどと言っておらぬ、その逆だ。
あちこち傷だらけのボロではないか。なんだ、その本は?
これは魔女書でございますゆえ。
あちらでは邪教徒の書いたモノとして迫害され、焼かれ燃やされ、これがかろうじて残った一冊。
! つまり…
この世に二冊となき品物にございます。
ふぅむ…
西方の邪教徒の本か。
おもしろいではないか。買おう。
ではこちらを…
これは『魔女チバリの薬術書』。
今より百年ほど昔、魔女ではと怪しまれた者が、次々火刑に処された時代。
命知らずにも自ら「魔女」と名乗っていた、女がいたのでございます。
イラストお借りしました!
Two blocks様「古いレター8」「古い草模様1」
asymmetry様「黒(単色)」「白(単色)」
シン・アスカセラ様「背景 アーチの大広間」「古びた異世界の本の山」
鬼岸様「旅人さん」
「チバリの薬術書」(非公開)
シン・アスカセラ様『ストリエDIY/本』
https://storiediy.whodunit.jp/diy/book/
で作成
ありがとうございました!
コメントありがとうございます!
DIY挿絵使ってみたさが我慢できず、ギュンツより先に皆様にお披露目です。
二話目以降も同じ挿絵をはさんでくると思いますが、「あぁ気に入ってんだな」と思ってください(*´▽`*)
コメントありがとうございます!
「砂漠の戦士」とは違った雰囲気の話をお届けできたらと思います。ちゃんとコメディになるよう、精進してまいります( `ー´)ノ