本を読み終えた感想はまずこれだった。



重いよ!!!!


本を読み終えた感想はまずこれだった。



児童書だろ、これ!?小学生とかには結構辛くないか!?





でも碧もおもしろーいとか言ってたのだから、そんな気にしなくてもいいだろう





…そんなことより、だ





きっと以前の桜子と麗花はこれを読んで転生を試みようとしたんじゃないか?





試みようとした…?だってこれただの小説だぜ。現実で出来るわけが――





でもこうして僕らは転生した





…いや、転生させられた――のか





……





以前、僕が『転生とは』と書かれた麗花のノートを見つけたと言ったよな?





あぁ





麗花が何かをきっかけにその言葉を知って、桜子がこの本を借りて二人で読み、方法までを探し当てた――と言う流れじゃないか?





なるほど…。となると次に考えるべきは……





――どうやって『じゅもん』を手に入れたか





この物語に則って考えるとそうだな





ここで行き詰まりか~





だが、だいぶいいところまできたぞ。あともう少しだ





しかし、本当にこの物語に則って考えるというのなら……





…彼女たちは…………





…………


――もし、本当に彼女たちが『まほうつかい』だったのなら……。



あー!そうだよ!お前、麗花んちでまたなんか見つけたんだろ!?





…え、あ、あぁ。見つけたとも





それ見せてみろよ、何かのヒントになるかもしれねぇだろ?





――。あぁ待ってろすぐに見せる


麗花はそう言うと勉強机(と言ってもその豪華さは他の勉強机と比べ物にならない)の上からノートパソコンを取り、電源を入れパスワードを入力しログインする。



って、どうやってパスワードわかったんだよ?





小学生の考えるパスワードだ。自分の誕生日や好きなものとかで設定しているに決まっている。片っ端から調べて入力していってログインした





コイツには絶対転生されたくないな…


ログインが完了すると、麗花は他人のウェブサイトの閲覧履歴を躊躇なく開いた。



――ほら、これを見てみろ





なになに……


俺は後ろめたさを感じながらも、パソコンの画面を見る。



『友達との付き合い方』、『人との距離をうまくとる方法』、『会話で気を付けるべき態度』、『女の子が好きな話題ベスト10』――。





なんだこれ…やけに人付き合い関係のまとめサイトだとかブログばっか





…そうなんだよ。そこで僕はまた新たに麗花についてわかった





麗花はコミュ障だったんだ!!!





おおう…うん


なんだか最近コイツ、ポンコツ化してきてないか?



だからクラスでは孤立ぎみなんだな~





コミュ障はともかく……それを知ってどうするんだよ





知って損することはない。
こうやって性格も知ることでなぜ転生したのか、動機を推量することもできる





ほーう





君はどうなんだ?





ん?





君はきちんと桜子と向き合えているのか?





桜子と――……





知りうる限り言ってみろ


今まで俺は桜子として、この子の何がわかっただろうか。



……桜子は優等生で忘れ物もしなくて――あと、可愛いものが好き…とか?





そんなの他人から見てもわかる情報だ





――もっとだよ。もっと何か……決定づけるような、転生の動機となる何か。





それがわかった時、初めて桜子と向き合うべきだと思うんだ


そうか俺は…桜子の表面しか見ていなかったのか……。



…俺、桜子や麗花を元に戻すことばかり考えてた。それだけじゃダメなんだな





そうだ。ただでさえ、君の手前勝手な言動のせいでクラスでの人間関係も崩れているわけだし





…うっ、それは……





ははっ、冗談だよ。そのことに責めるつもりはない。
むしろこういうことに関しては褒めてやってもいい





麗花……





さ、そんなことはともかく紅茶を飲め。もうとっくに冷めてしまっているし――





麗花ー!さっきはケーキ食べたり、内心ポンコツだとか思って悪かったなー!!





ぎゃーっ!?
それは構わんからいちいち抱きついてくるな!





…あーもうほんと面倒な奴だな…





僕から離れろー!!


