コツコツ
 
   コツコツ
 
       コツコツ
 耳に響くのは自分の足音のみ。
 一人になったことで、ようやく冷静に考えることが出来る。
 この屋敷の持ち主はベン・カサブランカ。
 シュバルツにとっては叔父にあたる男だった。
 親しい相手ではなかった。
 シュバルツの父親は≪美しいもの≫に夢中だった。
 そしてベンは≪動物≫に夢中だった。
 この国の住人の大半は狂っていた。
 
 ここの屋敷は長年空き家だった。周辺住人からは無人の屋敷だと教えてもらった。
 だから、勝手に居座ろうと侵入したのだが………
          
            
                  
        




















