廻る、廻る、運命の輪。
一つが狂えばもう一つ、繋がってどんどん狂っていく。
初めから狂っていたのかもしれない物語。
狂う運命だったかもしれない物語。
軋んだ音をたてながら、物語の歯車は歪んでゆく。
狂った物語は、何処へ行く？
先に待つのは、救い？ 滅び？
廻る、廻る、運命の輪。
一つが狂えばもう一つ、繋がってどんどん狂っていく。
初めから狂っていたのかもしれない物語。
狂う運命だったかもしれない物語。
軋んだ音をたてながら、物語の歯車は歪んでゆく。
狂った物語は、何処へ行く？
先に待つのは、救い？ 滅び？
ある国の城の一室。そこに、見目麗しい王妃が、鏡を前に妖しげな笑みを浮かべていた。
鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ？
「国民深層心理調査中、調査中…………結果、王妃様３７％、ヴァイネ様６２％、その他１％です。その他より一部抜粋。『全人類の女性を愛してこそ、狩人だね！』猟師永遠の二十歳男性。続きましては
無機質な鏡の音声。つらつらと続いてゆく批評も耳に入らず、王妃は呆然としていた。
なにせーー
な……な……
なんで私が一番じゃないの！？
世界一美しくなければならない己が、一番ではないのだ。
王妃は、美しいことが自慢だった。王である夫と結ばれたのも、その美しさゆえだと考えている。
あの商人めっ！ 真実を言う鏡なんて嘘じゃない！ 私が一番じゃないとだめなの！ 確かに最近ヴァイネも成長してきたけれど……まだ余裕があるじゃないっ！？
彼女は一番美しくなければいけないと脅迫的感情があった。たとえ実の娘であろうと、我慢ならない。
なんでなのよー！
王妃様。
何の用よ、大臣。一応ここ、私の部屋なのだけど。
王妃様の声が聞こえたので。……ひどく、心を痛めているようですね。
そりゃそうよ。どうしろっていうのよ。
……殺してしまえばよいではないですか。そうすれば、これから先も一番ですよ。
わ、私の手を血で染めろって言うの！？
シー。声が大きいですよ、王妃様。……別に、王妃様が手を下さなくともよいのです。国一番の猟師に頼んではいかがですか？ 王妃様の魅力では、断るはずがありません。
そっ、そうよね。別に、私がやらなくてもいいのよね。……じゃあ大臣、その猟師を呼んでちょうだい。
仰せのままに。
あなたが国で一番の猟師様？
ええ。シェーンと申します。
あら、頼もしいお名前ね。
いえ王妃様。あなたの美しさ程ではありません。
あらあら。
王のいないある日の城。そこに呼ばれたのは狼を殺した経歴のある猟師であり自称愛の狩人。若干見た目に不安があるが、大臣曰く彼が国一番の猟師のようだ。
軽く雑談を交えつつ、猟師の気を良くする。
……そして、本命の時がやってきた。
それで、ね。お願いがあるの。
はい。
その……私の娘の、ヴァイネを殺して欲しいの。
は……あ、いえ、あの、何故そのようなことを？
あの子、最近私を殺そうとしているみたいで、だから、怖くて……あなたしか頼れる人がいないの。
ぼ、僕しか頼れない……。
……わかりました。必ずや、成し遂げてみせましょう。
うわー、これは面倒くさいことになったね。でもご婦人の涙を放っておくわけにも行かない。……よし、娘がどんな子悪魔ちゃんか見てやろうじゃないか！ 頑張れシェーン、僕ならやれる！
