今日から魔導学園に編入予定である希が、俺の家に来たのは昨日のことだ。
昨日の模擬戦がまぐれでなければ、俺らのSクラスに配属されることは間違いないだろう。
しかし、昨日の模擬戦で見せた瞬間的に錬成形態にすることができる技、今まで見たことがなかっただけに、希がどうやってあの技を習得したのかは当然のごとく気になるところだ。
だが、それを聞こうにも昨日は黙り込まれて聞けなかったし、さっきの希との一件のせいで、余計に聞きづらくなってしまった。
俺は、自分の部屋で制服に着替え、一階に降りて行った。
今日から魔導学園に編入予定である希が、俺の家に来たのは昨日のことだ。
昨日の模擬戦がまぐれでなければ、俺らのSクラスに配属されることは間違いないだろう。
しかし、昨日の模擬戦で見せた瞬間的に錬成形態にすることができる技、今まで見たことがなかっただけに、希がどうやってあの技を習得したのかは当然のごとく気になるところだ。
だが、それを聞こうにも昨日は黙り込まれて聞けなかったし、さっきの希との一件のせいで、余計に聞きづらくなってしまった。
俺は、自分の部屋で制服に着替え、一階に降りて行った。



ふんーふーんふーん♪


階段を降りると、姉の火憐がキッチンに居た。
そして、姉が鼻歌を歌いながら、目玉焼きを焼いている。
どうやら、自分の分の目玉焼きのようだ。
すでに、俺と希の座る席には目玉焼きと焼いた食パン、そして、こんがり焼かれたベーコンが、皿に盛られていた。



おはよう。姉ちゃん。





あー。おはよう。
久しぶりに一緒に食べれるわね。


ここのところ、姉は朝早く出て行くことが多かったので、朝食を一緒に食べるのは久々だった。



そう言えばそうだったね。
あれ? 希さんは?


俺は、まだ一階に来ていない希のことを聞く。



そうね。遅いわね。


そう言っていると、希が階段をゆっくり降りてきた。



お、おはようございます。


希は、俺を避けるようにして自分の席に座った。



おはよう。希ちゃん。
昨日はゆっくり眠れた?


姉が希に聞く。



は、はい。眠れました。眠れましたけど……。


どうやら、さっきのことを気にしているようだ。
ここは、謝っておいたほうが良さそうだ。
俺は、希に話しかけた。



あ、あのー。


俺が、恐る恐る希に話しかける。すると、希は涙目でこちらを見ながら、口を開いた



さ、さっきは、ごめんなさい。


謝るべきはこっちなのに、先に謝られてしまった。



こ、こちらこそ。
その、胸を触ってしまいしみませんでした。


自分で言ってみて、俺は気づいてしまった。
彼女はまだ、俺に裸を見られたかもという認識だけで、胸を触られたことに関しては気づいていなかったということを。
すると、案の定、俺が胸に触ったことに気づいていなかった希は、一層涙目になり、ついには泣き出してしまった。



うわぁぁぁん!





しまった……。


そして、俺の頬に希からの強烈なビンタが炸裂した。
その後、希は姉に宥められ、何とか事態は収まった。
俺は、朝食を食べ終え、希と一緒に学校へ向かったしかし、状況は変わらず、希は俺を警戒し、朝ごはんを食べ終えて学園に行くまでの間、俺の三メートルほど後ろを警戒しながら歩いてきている。
俺がこの状況をどうにかしようと頭の中を廻らせていると、三メートル後ろの希が俺に話しかけてきた。



あの……。


希の小さな声が俺を呼ぶ。



な、何かな?


俺は振り向き答えた。希はそれと同時に足を止める。



さっきは叩いてしまって、ごめんなさい。





いやいや、悪いのはこっちだし。





でも、さすがに痛そうですし。





いやいや、少し赤くなっているだけだから。大丈夫。


俺は、若干痛い頬を叩いて見せて、「平気、平気。」と笑顔で言った。



それより、改めて今日からよろしく。希さん。





こ、こちらこそ。よろしくお願いします。


希は、深々とお辞儀をしている。



それと、俺のことは、ユウって呼んでくれ。俺も希って呼ぶから。


俺は、笑顔で言った。



じゃ、じゃあ。……ユウ。





…………。





…………。


お互いに、恥ずかしさで頭がパンクしそうになった。
それから、学園までの登校中、俺の仲間のことや、姉のこと、学園でのことを話した。
すると、緊張が解けたのか、希は明るい表情を見せ、俺の話に一緒になって笑っていた。
どうやら、昨日の今日で緊張が解け切れていなかったらしい。



そういえば、名前は分かったけど、希って苗字は何て言うんだ?





……。


俺が聞くと、希は一瞬だけ迷った素振りを見せた。



そ、そういえば言ってなかったね。


希が、わざとらしく明るく答えた。



いや、昨日の模擬戦で強かったから、どっかの名家の人なのかなって思って。





知りたい?


希がニヤニヤして聞いてくる。



ああ。どこの名家出身なんだ?
俺の家みたいに、どっかの名家出身なのか?





では、では。教えてあげましょう。


そう言って大げさにターンをして、俺の前に出る。



お、おう。というか、希。
キャラ変わってないか?


俺は率直な疑問を投げかけた。



今までは、緊張してたからね。
これが本来の私。


左手を胸に当て、元気な笑顔でそう言った希に、俺は少し好意を抱いた。
そして、希の次の言葉に俺は、驚きと混乱でパニックになった。



今日から、私の名前は、神裂 希。
あなたの婚約者です。


希は笑顔でそう宣言した。



え、えぇぇぇぇぇぇぇ!?


