カジュアル系やらキュート系やらたくさんの種類があるその服屋はたくさんの女子で溢れかえっていた。つまりだ、この店に男は数人しかいない。そのため、うへぇ気持ち悪。というのが今の俺にある一つの感情だ。それにさっきから視線が痛い。人に見られるってのはなかなかに気持ち悪い。すまんな、玲。お前もこんな思いをしていたとは…次から男の汚い視線から守ってヤリマスヨー(使命感)。
カジュアル系やらキュート系やらたくさんの種類があるその服屋はたくさんの女子で溢れかえっていた。つまりだ、この店に男は数人しかいない。そのため、うへぇ気持ち悪。というのが今の俺にある一つの感情だ。それにさっきから視線が痛い。人に見られるってのはなかなかに気持ち悪い。すまんな、玲。お前もこんな思いをしていたとは…次から男の汚い視線から守ってヤリマスヨー(使命感)。



既に胃が痛い





ハハハ、なんて言ったらいいか…





ってかさ、俺がここにいる意味ってなんなの?





女子の服ってよくわかんないし……


いや、いやいやいや。こっちだってわかんないから。地味にお前なら分かるだろ雰囲気出さないでくれます? それ、アレだから。マジで喧嘩売ってんのかコノヤロー、パターンだから。女子の服が分からない?はっ、店員に聞けよ(正論)。



俺にもわからないからね!?





うん、知ってる





おい、俺がここに来た意味





え?だって、一人で女子服売り場行くのなんだかは、はずかったし


なにいっちょ前に照れてやがる。ふざけてんのか。それともなんだ? 真面目ですとか答えるつもりか? プークスクス。女子になった時点でもう真面目なんて答えられねーよ。俺は信じない、ここに来た意味がそんなものだったなんて信じたくない。もーやだ。何この子、人振り回すのめちゃ上手。



お前は、お ん な だ ろ !?





俺は、おとこだ!!


なに言ってやがる。整った可愛い顔につやっつやでさらっさらな長い髪、ふくよかな胸、スラリとした長い足。ふっ、コレのどこが女じゃないと? イケメンな男がTSしたら美少女になる。何それ、そんなお約束いらないわ。そんなことしたら…人生、勝ち組けってーじゃん。勝ち組けってーじゃん。大事なことなので二回言いました。



ふざけやがって……俺のことをなんだとおもってんだ





ヘタレな幼馴染蒼くん





よし、お前の言いたいことはよーく分かった。ジャッジ―――ギルディー





なっ、それだけで有罪!?


あぁ、有罪だとも。ヘタレ? ヘタレだって? そんなこと知ってるわコンチキショー。ふ、ふん! ヘタレで何が悪いんだ(開き直り)。お、おま、ヘタレは凄いんだからな! 目の前にエロい美少女がいても手を出せないんだぜ? 自分の貞操を守れる俺TUEEEEE!ってやつだよ。ほら、ヘタレは偉大なんだよ。ん? だから童貞なんだって? べ、べつに童貞でもいいし………嘘です。見捨てないでください。



すまんって、お願いですから手伝ってください





だが、断る!!





うざっ





うざっ言うな





はいはい、もう行くぞ?


そう言ってスタスタと店の中に入っていく玲。その後ろを渋々ついていき、玲ちゃんの服を選ぶ。もちろん、俺にはファッションなるセンスなど一切ない。え? 知ってた? くそう、バレてたか。



このワンピースどう?





いきなりワンピースかよ。ねぇ、君の男のプライドはどこに行ったの?





あん?何か言ったか?


やん、やっぱり玲ちゃんのその笑顔怖い。その笑顔で人も殺せちゃうよいやっふぅぅぅううう!! 走馬灯が見えてきた(小並感)。あぁ、白いワンピースを持った玲ちゃんが見える。これが俺の最後か……



じゃあ、いいよ。やめるから





……本当にすんません。





ほんとに思ってんのか?好きでこんなもの選んでなんかない





ハハ。で、でも似合ってるよ、うん


いや、ホントに似合ってるよ、うん。さわやか系美少女が白色の清楚感溢れるそのワンピース着たらきっとイチコロ。誰がイチコロとは言わない俺って賢い。



ほ、本当か?絶対嘘だろ


おい、誰が似合ってないっていったんや。この子、おかげで俺の言うこと聞かなくなったじゃないか。あっ…(察し)ヘタレの俺の言うことなんて誰が聞くかって感じですね、はい。なんかすみません。



まぁ、中身男だけどね☆





おい、なんか言いたいことでも?


やはり、その笑顔は怖いね! それに霧島家には心を読む能力でもあるんですかねぇ。何それ、最強。俺のプライバシーが侵害されていくぅ。え?そもそもないんじゃ…てへ☆それもう人間じゃねーわ。かわいそうに…あっ、俺じゃん(白目)。



………(恐れ)





まっ、いいや。じゃあ、買ってくるわ


レジの方へ歩いていく玲の姿を引きつった笑顔で見送る。うん、なんでなんだろうね。なんで玲ちゃんの笑顔が怖いんだろうね。不思議。不思議はいつになあってもわからないから不思議なのである。あれ……目から汗が。不思議。



俺の日常……フィンフィンだな


フィンフィン……終わりってことだよ!! いつからだ、いつからおかしくなったんだよ! 玲が女になった時点でおかしかったですね。そもそも、うちの姉が生まれてしまった時点で運命が決まってたんや。悲し……



終わったぞ





ん?……あぁ。じゃあ、次だな


買い物袋を持った玲ちゃんが来たのでさっきまでいた服屋から出る。えっと、確か次は文房具だったよな(錯乱)。



なぁ、次ってーー





………下着だ





うっそん。それ、俺が死ぬ確定じゃん。お前は俺に死ねと申すか





じゃあ、俺はどうするんだよ!?





し る か !男がランジェリーショップなんて行ってみろ!俺は世間の中で死にたくねえ





俺も中身としては男なんだよ!?





大丈夫だ!外見は女子してるよ





真顔で言われてもな!!


マジで、玲たんパネェ。あっ……もちろん俺はあの後、店の入口斜め二歩左のところで待ちましたよ。斜め二歩左!ここ重要。玲はどうしたのかって? 店員に預けました。店員さんマジ救世主! ありがとうございました!!
