大島

そう言えば、小説の朗読って、やったこと有りますか?

百合ヶ丘

突然の質問だね

大島

百合ヶ丘君がそれ言うの?

辻堂

朗読かぁ。国語の授業でやるとかそれくらいならって感じだな

柏

僕も朗読はそれくらいかなー。でも、演劇部で台本読んだりはしてたよ

百合ヶ丘

柏先輩、演劇部だったんですか?

柏

うん。そうだよー

百合ヶ丘

高校は東京ですか?

柏

ううん、茨城

百合ヶ丘

そうですか、じゃあ違いますね

大島

何か有ったの?

百合ヶ丘

お姉ちゃん、東京の高校に通ってたんですけど

辻堂

あ、嫌な予感しかしない

百合ヶ丘

初恋の相手が演劇部員だったらしいんですよぉ!

柏

はい

百合ヶ丘

宿敵討つべし!討つべし!討つべし!

大島

そんな勢いで討たなくても。董卓じゃないんだし

柏

と言うか、そんなにお姉ちゃんにべったりだと、お姉ちゃんに煙たがられたりしない?

百合ヶ丘

確かに!素っ気ないと感じることもあるけど!照れてるだけですから!

大島

ここまでダメな例は初めて見た

柏

あのね、百合ヶ丘。参考までに聞いて欲しいんだけど

百合ヶ丘

なんですか?
心当たり有るんですか!

柏

ベタベタしてくるお兄ちゃんウザいって言ってた妹さんが居るから、覚えておいてね

大島

そうですね。関係性が逆になっても、あまりベタベタされると不快感は有るかもしれませんね

百合ヶ丘

えっ……お姉ちゃんが僕のことをウザいって思ってる可能性が微粒子レベルで存在する……?

大島

そうだね、微粒子どころでなく有るね

百合ヶ丘

でも、それはお姉ちゃんに彼氏が居るからで、あいつが居なくなれば!

辻堂

だめだ

大島

だめだ

柏

だめだ

辻堂

で、なんで大島は急に朗読なんて話を出したんだ?

柏

あ、百合ヶ丘のことスルーした

大島

実は、高校の時に先輩に、小説の朗読をして貰ってたんです

辻堂

そうなのか?なんでわざわざ

大島

実は僕、元々小説の朗読が好きというのはあるのですが、文字を読むのが苦手で、本を読むのにすごく時間が掛かるんです

辻堂

なるほどな

百合ヶ丘

それで、授業中にノートを僕が読んだりもしてるんですよ

大島

そうなんです。百合ヶ丘君にはお世話になってます

柏

もしかして、誰かに小説の朗読して欲しいの?

大島

そうですね。いつもは高校の時の先輩にお願いして録音して貰っているのですが、文芸部でやっても面白いかなと思って

辻堂

確かに。文字だけで見るのと音で聞くのでは印象変わるしな

百合ヶ丘

そう言われるとなんかやってみたい気はするなぁ

大島

柏先輩はどうですか?

柏

うん。やったら面白そうー。
高校の時、図書委員の人がたまに朗読会やってたから、興味はあるんだよね

大島

図書委員の朗読会って、結構広く分布してる文化なんですね

辻堂

興味があるなら早速やってみるか?
と、無茶振りをする

柏

良いですよー。何読みますか?

大島

それじゃあ、過去の部誌の中から何か1つお願いします

柏

わかったー。じゃあそこに置いてあるやつでいいかな?

辻堂

自分のが読まれる可能性に緊張を禁じ得ない

百合ヶ丘

じゃあ辻堂先輩のは避けましょう

辻堂

えー……

柏

えっと、じゃあこれにしようかな。
始めていい?

大島

はい、お願いします

柏

『はじめに羽を与えられ、人は僕を夢で塗りつぶした。
「お前はとても美しい」
喜んで身を捧げた』

大島

…………

百合ヶ丘

…………

辻堂

…………

柏

『生まれた時は無色透明で、夢と希望を描いていた。
積み上げた偶像崇拝主義に、僕は埋もれていた』

大島

…………

百合ヶ丘

…………

辻堂

…………

柏

『君がけして汚さないように、僕が全ての黒になるから。
次の僕に会えたら、次は夢の様な白を描こう』

辻堂

……ほんとに音声で聞くと印象変わるな

柏

そうですねー

大島

素敵な文章を書く先輩が居たんですね

百合ヶ丘

きっと繊細な人だったんだろうなぁ

辻堂

ああ、気遣いの出来るやつだったよ

百合ヶ丘

たまにこうやって朗読するのも良いですね

辻堂

そうだな。執筆に詰まったらまたみんなでやるか