快

んん……






快

この匂いは……?




起きてすぐに気付いたのは、
慣れない匂い。


それと……




快

圭……?

圭

ん、おはよう快




友達――日浦圭の後ろ姿だった。
台所で美味しそうな香りを立てている。

僕がよく使っているエプロンもつけているようだ。




圭

ごめんね、台所借りてるよ

快

いや、それは良いんだが……なにしてるんだ?

圭

昨日の仕返し




そう言って器用にフライパンを使う圭。
どうやら朝ご飯を作ってくれている様子。

……。

すぐに気付けよ僕。

快

まだ寝ぼけているみたいだ
ちょっと顔を洗ってくる

圭

ヘンテコな寝癖もついてるから直してくるといいよ

快

わかった

快

ちょっと行ってくる




圭になら見られても構わないが、
学校に行く前にしっかりしないとな……

圭

俺としてはそのままでもいいけどね




洗面台に行く途中、
小声が聞こえたような聞こえないような。

快

なにかいったか?

圭

なんにも
はやく行ってきな

快

あ、ああ




……気のせい、か。






……昨日のこと、
あんまり意識しない方がいいのかな……






火照った顔に冷水を叩きつけ目を覚まさせる。


快

…………!!!!




徐々に思い起こされる、昨日。
こう一日経って冷静に考えると、
僕の人生の中でもかなり珍しい、
相当なビッグイベントだったんだな……。






快

小学生の頃からの友達に……

快

男子の方が好きだとは知っていたけど……

快

年齢=恋人いない歴の僕が……

快

告白された……






…………凄いことだな!? これ!!

快

凄いことだ……










圭

快、出来たよ

快

あっああ、ありがとう!






しばらくぼーっとしてしまっていたらしい。



圭の声は、冷水よりも強く僕の意識を覚醒させた。











快

いただきますっ

圭

どうぞ






夜、ご飯を炊いていなかったからだろうか。



食パンと、スクランブルエッグ、ウインナー。
シンプルながら味付けは最高だった。
火加減もばっちり。

天才は料理が出来ない。
なんていうことはなかったらしい。





快

今日は委員会決めか……
圭はなにか、やりたいものとかあるか?




目玉焼きを箸で割りながら、
何気なく聞いてみた。
本当に何気なく聞いただけだったが、


圭

今年も、
快と同じになれればそれでいい

快

そ、そうか




そこはかとなく、妙な空気が流れた。
僕が勝手に感じているだけか……。





そういえば、圭とはクラスだけじゃなくて、
委員会とかもずっと一緒だったな。

あのときから圭は、……、
その、ずっと僕を意識してくれていたんだろうか……





次の台詞が中々出てこないまま、
お皿の上がどんどん綺麗になっていった。


快

あのさ、圭













僕、図書委員会に入ろうと思ってるんだけど。



なんて言おうとしたとき、
多分この家に引っ越してきて初めて、
この時間にチャイムがなった。


快

誰だろう、こんな時間に。

圭

一人しかいない

快

……?




なにやら検討がついている様子の圭。


快

今行きまーす




郵便物かなんかだとたかをくくり、
軽い玄関を開けると。












有希

あ、あの……






有希

おはようございますっ





………………。
んんん?



快

お、おはよう






どうやらもう一杯、冷水か圭の言葉が必要そうだ。