はっ!と我に返ると布団に座り込んだ。。



ここなら姿見も見えない…



時間が経つにつれて寮生が戻ってくる


楽しそうな女の子達の笑い声。


喧嘩をしながら歩いているカップルの声


男同士のふざけた笑い声…


その男の声さえ自分の声に聞こえてくる。



でも自分の声と言うのは骨伝導で高く聞こえるので自分の声なんてわかるハズもない


時として自分の声が…


いやいや違う…


あれはただ似た人の声だ…

でも"Doppel gӓnger"はこの寮の周辺。


僕の行動範囲内全てにおいて現れている。


赤く染めていた太陽の光は太陽が沈むと共に青…

そして黒に変わっていく。

すると近所の犬が月の現れと共に鳴き始める。


それにしても…静かだ。


静寂が辺りを包んでいる。


いや、だんだんと音が聞こえなくなってきたんだろう。


スタンリー・キューブリックのシャイニングのワンシーンのように何の音もしない。


ただ、感覚だけが研ぎすまされていく…


聞きたい音が全て聞こえそうだ

たとえそれが雲の動く音だとしても。


何も…何もきこえない。


お遍路さんの行のように集中しているのか。


頭のなかさえ真っ白になりつつある。


意識が…


遠のいていく…

漆黒の闇に同化していく…


不思議と…


心地よい。。