立哉さんから聞いた話では、夜道を歩いていたらいきなり後ろから襲われ、斬りつけられたらしい。
何とか犯人を見ようと振り返った結果、そいつは宙に浮いていたそうだ。



なるほどな・・・


立哉さんから聞いた話では、夜道を歩いていたらいきなり後ろから襲われ、斬りつけられたらしい。
何とか犯人を見ようと振り返った結果、そいつは宙に浮いていたそうだ。
・・・うん、宙に浮いてて斬りつけてくるやつかー。
ごめん、いっぱい居すぎて分からないや。
僕だけかな、って思ってメンバーを見ると、・・・ああ、うん。
みんな僕と同じらしい。



特定したいんで、もうちょっと特徴とかありますか?





ああ、すいません。えっと・・・女性、でした。





形は?完全な人型?それともどこか欠けてた?





完全な人型だったと思います。浮いてましたけど・・・





何で斬られたとか、わかります?





・・・信じられないかもしれませんが、腕、だったんですよね。腕が鋭い刃物みたいになってて・・・
俺を斬りつけた後、風が吹いたと思ったら消えてて。訳が分からないまま俺は死にました。


特 定 し た
腕が刃物みたいになってて、宙に浮いてて、斬りつけた後は風と共に消える。
僕、こんな特徴持ってる人、一人しか知らないんだよねー。
もう、あの人しかいないよね。
鎌鼬しかいないよね。



あいつか・・・これで何度目だよ・・・





最近大人しくしてると思ったらこれだよ・・・





気ままにもほどがあるだろ、鎌鼬。





鎌鼬?それが俺を殺した犯人なんですか?





鎌鼬、だと思います。
お話を聞く限り、その特徴を持つのは彼女だけなので。


へえ、と頷く立哉さん。
あれ、この人・・・犯人を知りたくてここに来たんだよね?
これから、どうするんだろう。



これで犯人は分かったわけですが、これからどうしますか?





うーん・・・人なら、警察に突き出すんですけど、





人じゃないですもんね。





そうなんですよね・・・別に復讐しようとかは思ってませんし・・・





そういえば、死んでからお迎えとかなかったのか?そのままここに来たみたいだけど。





あ、そのことですか。ええと、来ませんでしたし、上に引き上げられる感覚はあったんですけど、犯人が知りたかったので、気合でここまで来ました。
そうしたら、ここの玄関に着いた時には、引き上げられる感覚も消えてましたね。





何してんだこの人!!!





犯人なんかあの世の審判でも教えてくれたのに!!





なんってことを・・・





あー・・・念のため、逝くべきところに逝ってもらえる?もし本当にそんなことをしたんなら、逝けなくなってると思うから・・・





はい。お世話になりました。
失礼します。


玄関まで送って行って、目の前で戸が閉められた。



・・・逝けたらいいけど





・・・逝けると信じるしかないね・・・





ん?


さっき閉まった戸がまた開いた。



すいません!無理でした!!





だろうな!!


今後、この事務所の地縛霊として生きてく・・・
いや、存在していくそうです。
