春。この時が来た。
期待と不安を胸にひめ、校内の昇降口に貼ってある紙から自分の名前を探した。

俺は気絶しそうになった。
無理もないだろう。
俺の名前が書かれていた二年一組のクラスのメンツは一年の時、問題児とうわさされていたやつらばかりであったからだ。

そう自分に言い聞かせ、俺は教室へ向かった。

さっきのゴリラみたいなやつはエイゴ・リラン。愛称はゴリ。
やつにゴリラという単語は禁句。
その言葉を発言したやつは学校を辞めた。
理由はわからない。
そもそもこいつの名前、かわいそ過ぎるだろ、親ひどいな！
顔も体も挨拶もゴリラを連想させる。人間なのか？
あの緑のオーラはなんだ？
野獣のオーラなのか？
とりあえず彼といると精神的に疲れる、そんな動物だ。

しばらくして、俺は二年一組の教室に着いた。
覚悟はできた。
このドアを開けるとおぞましいものを目にするであろう。
俺はゆっくりドアを開けた。

俺は自分の席に座り、真っ先にまともな人間であろう人を探した。

探すだけ無駄だったのは言うまでもあるまい。

綺麗だ、俺は単純にそう思った。

しばらくの間、沈黙が続いた。

彼女は笑顔でそう言った。

彼女は笑ってそう言った。

彼女はにこやかにそう言った。

彼女との、そしてクラスの奴らとのめんどくさい高校生活はここから始まったのである。