2限の終わりを告げる鐘が鳴るとほぼ同時に
ううん、と両手をあげ大きく伸びをした桃香に、
僕は後ろの席から身を乗り出して
おい、と声を掛けた。



ふう~、やっと終わった~……


2限の終わりを告げる鐘が鳴るとほぼ同時に
ううん、と両手をあげ大きく伸びをした桃香に、
僕は後ろの席から身を乗り出して
おい、と声を掛けた。



さっきの講義、ずっと船漕いでたろ。
ばればれだったぞ~?





えっ、そんなに?





頭を机にぶつけんじゃないか、って
くらいだったよ!





あちゃ~……
だってこの部屋、あったかいんだもん。
黙って先生の声聴いてるだけじゃ、
絶対眠くなっちゃうよ~





ふうん……じゃあ、
3限は起きてられるように、
涼しくしてやろうか?





えー……
一応聞くけど、どうやって?


おそるおそる、といった様子の桃香に
僕はにやにやと悪い笑みを浮かべてみせて。



怖い話、してやるよ





やだー!


悲鳴をあげ、桃香はぎゅっと目をつぶると
両手で耳を塞いでみせた。



う~……


俺はその、耳を押さえる手に顔を近づけて。



――君のことが、好きだよ。


再び顔を離し、指で桃香の手を
とんとん、と叩く。



うう~……怖い話、
お、終わった?





……うん、終ったよ。


