数週間後



もう、ホントに困っちゃう





どうした。お前がこんなに怒るなんて珍しいな





どうしたもこうしたも、永遠の命を求めて変な実験をしてる人間が居たんだよ。
将来的にそっちにも行く話だと思うけど





真っ先にお前の所に話が行ったと言う事は、医学的な事でやらかしたのだな





あれ?そう言えば、ふと思ったんだけど





何だ?





永遠の命って、存在するのかな?





?
言われてみれば





……





……


数週間後



で、なんで俺の所に転がり込んでくんの?





語主は僕達より世界の真理に詳しいでしょ?教えてよ





そうかも知んないけど、俺はお前達より年下なの忘れてね?





お前が私達よりも年下なのはわかっている。
年齢と知識の範囲は関係が無いだろう





まぁ、そうなんだけどさ。
あ~、で、『永遠』って物が存在するかどうかだっけ?





そうそう。うちの神に聞いても教えてくれなかったんだ





結論から言うと、存在するとも言えるし、存在しないとも言える





なんだ、その玉虫色の答えは





人間から見たら俺達って、永遠に存在する物のように見えるだろうけど、実際俺達っていつまでもこの世界に居ると思う?





ん?うむ……そう言われると難しい問題だな。
少なくとも、寿命を迎えた天使の話は聞いた事が無い





じゃあ、天使に寿命は無いと思うか?





えええ……?そう言えば、どうなんだろう。
前例は無いけど、生物学的には寿命が無いとおかしいし、有るのかな……無いのかな……





そんな感じで、見た事が無い、若しくは認識した事が無い物はわかんないんだよ。
有る可能性も無い可能性も、どっちも同等なだけ有るわけ





なんだそれは。まるで『シュレディンガーの猫』だな





まさにそれだよ。
まぁ、永遠ってのが有るか無いか、確実にわかる時ってのは、永遠が全て消えたときだろうな





あー、『永遠』を体感してる間は『永遠』を認識出来ない?ってこと?ヘブライ語でおk?





そうそう、そう言う事。
あと、俺が話してるのは日本語な





なるほど。なかなかに深い話だ。
父なる神は我々に自らの存在について考えよと、そう思われてお話を聞かせてくれなかったのだな





いや、単に説明が面倒だったんだと思う





そっかー、そう言う事なんだね。
語主、お話聞かせてくれてありがとね





余り邪魔しても悪いからな。我々はこれで失礼する





おう、シエルンによろしくな





いつかこの世界は必ず終わりを迎えるなんて、迂闊に言えないよなー


