数時間後、隣でがさごそと動く音に起床する俺。
サンザシと目が合う。しばらくの沈黙。
サンザシの目がみるみる大きくなる。
ふ、と俺が笑うと、サンザシは猫のように素早く手を離し、後ろに飛び退き、ベッドの上で正座。器用なものだ。
しばらくうつむいていたサンザシさんは、すべてを思い出したのか、わなわなと震え始め、そして、頭を抱えながら、頭を下げた。
新しい土下座の形。
数時間後、隣でがさごそと動く音に起床する俺。
サンザシと目が合う。しばらくの沈黙。
サンザシの目がみるみる大きくなる。
ふ、と俺が笑うと、サンザシは猫のように素早く手を離し、後ろに飛び退き、ベッドの上で正座。器用なものだ。
しばらくうつむいていたサンザシさんは、すべてを思い出したのか、わなわなと震え始め、そして、頭を抱えながら、頭を下げた。
新しい土下座の形。



本当に本当に本当に本当に本当に申し訳ございませんでした……





あ、いや、俺こそごめん。驚かせて





いえ……私は本当に何をしているのでしょうか……すやすや寝てるんじゃない、起きろよってはなしですよね……





顔をあげていただけませんでしょうか





このままうずもれたい気持ちです……穴があったらそのままもぐらになりたいです……





サンザシ、大丈夫だって





何が大丈夫ですかあ! うわあああああ


ぐりぐりと頭を羽毛布団に押しつけるサンザシ。



ごめんなさいいいいい





大丈夫だから、サンザシ!





もう本当に本当に私って……あああああああ


サンザシさんご乱心をなんとかなだめ、



気分を変えて、次の物語にいこう!


と促した。部屋を出て、放心状態のサンザシさんが、こくりと頷く。



私、なにもしてませんよね





なにもされてません





では……気持ちを切り替えてサポートさせていただきますあああああもうあああああ


発作的に恥ずかしくなるらしく、顔面を両手の平で押さえてうずくまる。
うーん、面白い。
からかいたい気持ちがむくむくと沸き上がるが、これ以上するとサンザシさんがもぐらになってしまうので、控えておく。



調子はどう?





すこぶる元気です……よく眠ったので……あああああああ


何を言っても無駄らしい。わちゃわちゃするサンザシさんの面白いこと。



二度寝だもんね





崇様もおおおおお


いかんいかん。話を本題に戻してあげないとかわいそうだ。



悪い悪い。疲れもとれたところで、次の世界に行こう。
次は……どんな世界なのかな


自分の服装を見た限りでは、どんな世界か予想がつかない。
先程の勇者は分かりやすかったが、今回はTシャツにうわぎという、正直どこの世界に飛ばされてもおかしくないような格好だ。



さあ、どんな世界でしょうね?


サンザシが笑う。おそらく空元気だが、彼女の調子も戻ったところで。



行くか、四つ目!





ええ、では、久々にその扉からどうぞ!





そういや、ここ二つはセイさんにふっとばされてたもんね





ひどいですよね





まったくだ


では、と扉のノブを握る。ひやりとしたそれに答えるように、体もするりと寒くなる。
直感的に嫌な予感。だが、踏み出さなければ始まらない。
ノブを、静かに押す。
扉が開いた音に、その部屋にいた人がふいと顔をあげた。スーツを来た女性と、白衣を着いた男性。
暗い部屋。わずかな明かりには、蛾が群がっている。
敷き詰められた段ボールと、そこから覗く、拳銃。
拳銃! ひええ!



やあ


そんな背景とはうらはらに、女性は優しく微笑んで



よく来たね、待っていたよ


やさしく、俺の肩に触れた。
