何か細かいことを考えることもなく、隼士は即座に地面を蹴り出し、スライムの一匹へと肉薄する。



(ブルルッ……)





(ズ、ズズ……)





仲間が一匹やられて怯えたか……?
随分と及び腰と言うか……





まぁいい、好都合だ!


何か細かいことを考えることもなく、隼士は即座に地面を蹴り出し、スライムの一匹へと肉薄する。



(ブルッ―――)





逃がさねぇッ!!


逃げようとしたのか後ろに下がるスライムの体を追う様に、隼士の拳が空気を裂いて襲い掛かる。
拳は最初の一撃の様にスライムの体を捉え、ゆっくりと突き刺さり―――猛烈な勢いと威力で以て、その体を破裂させた。



ふぅ……





(ベチャベチャッ、バッ!!)





ぬぁ、しまっ――――!!





せぇぇぇっ!!!


一匹の陰に隠れていたスライムの追撃は、少女が突き出した鋭い刺突によって止められた。
しかし咄嗟に放ったであろうその強力な突きは、しかし運の悪いことにスライムの粘液上の体には効果が薄かった。



はぁっ!!


隼士は空に縫いとめられるスライムに拳を叩き込み、今までのスライム宜しく破裂させた。
これで、スライムたちは全部倒したことになる。



だぁー……疲れたぁ……





私もちょっと疲れちゃった……





……あ、助けてくれてありがとう。
私、ヴィクトリアって言うの。君は?





あぁ、俺は神田隼士。こっちこそ助かったよ





んでまぁ……俺はあれだ、目が覚めたらここにいてちょっと困ってるところだ





気づいたら、ここに……!?
それ、ホント!?





んぁ? ……あぁ、本当だぞ





お蔭でどうすりゃいいんだかさっぱりだ





あー……えっと、じゃあさ





良かったら―――私が住んでる街に来ない?そこなら安全だよ





お、本当か?





そりゃ助かる、ぜひお願いするよ





わかった。じゃあ、私についてきてね





あぁ、わかった





……気づいたらここにいた。
この世界のことを知らない。





きっと、隼士がお父様が言っていた『召喚者』なんだ





だましてるみたいだけど……絶対に王国に連れて行かなきゃ


~つづく~
