究極の召喚魔術
 
究極の召喚魔術



……





君、大丈夫?





え?あ、はい





ごめんねぇ。驚かせちゃって
アイツ、悪いやつじゃないんだよ





うん、ただ眠かっただけなんだ





はぁ





ところでさ、君って一年生だよね?





はい、そうですが





やっぱり?前から気になってたんだぁ!
君、めちゃタイプなんだけど





……は?





主人公がチンピラと奮闘する中、隙を見てヒロインの一人を口説こうとするハーレムアニメの悪の権化のようなこの男。





……もちろん、こちら側の人間である。





お前、いけすかねぇんだよ





俺だって、アンタみたいな、ごろつきは嫌いだ。できれば関わりたくないんだけど





だったら、決着つけようや





ぼっこぼこにしてやっからよ





アナタねぇ!自分が気に入らないからって





いいよ。
それで、アンタの気が済むのならな





だけど、その代わり……
クラスのみんなを怖がらせるような真似は





はいはい。
二人ともそこまで





んだよ!
邪魔すんじゃねーよ





まぁまぁ


 



……





ごめんね。迷惑かけちゃって





ちょっと、声のボリュームを落としてもらいたかっただけなんだよ





コイツ、頼み事とかするの苦手だからさっ
あっははは





うっせ……





……





怖がらせちゃったね。
だけど、もう大丈夫だよ





……主人公の見せ場を奪い去る
ムードクラッシャーなこの男も言わずもがな”現実”から来た人間である。





そして何故、こんなことになったのかと言うと


 



おっはよー!





……何もかもコイツの責任だ。物語のヒロインの一人であるこの女が珍妙な魔法を行使して我々を召喚したのだ。





おはよう





おっ!やってるねー!
もう、みんなと友達になれたんだねっ





掴みはバッチリだなぁ……


彼女の一族には古くから伝わる究極の召喚魔術というものがあった。
たった一度きりしか使えないその魔術は、術者の願いを叶えるために精霊を召喚するというものだ。
本来ならば、彼女の願いを叶える最良の精霊が召喚されるはずであったのだが……
……彼女はヘマをした。
召喚に必要な詠唱を一文すっとばし、最良でも精霊でもなんでもない我々を召喚してしまったのである。
ちなみに、その願いとは



どう?
他の子から隼人くんを切り離してくれた?





主人公を独り占めしたいというなんともワガママなものだった……


つづく
