今後記事を書いていくにあたり、今も悩み続けている自身のバイセクシャルという属性について、自覚した経緯をおさらいしない事には話が始まらないように思うので、遠い記憶を少しずつ辿っていきたい。



とはいえ40年近くも前の話なので、実ははっきりと自覚したきっかけは覚えてない。小学校の時の初恋の相手は女性だったので、その時はまだノーマルな男の子だったのだと思う。



中学生になるとそれなりに性の知識はついてくるけど、当時はインターネットなんて便利なものはなく、友達同士の口コミぐらいしか情報源が無いので、今にして思えば笑えるぐらい間違った知識もあった。知識だけでなく写真や動画も手に入れるのは困難だったので、オナニー覚えるのも今の子達と比べれば凄い遅い方だったと思う。



中学生になって半年も経った夏頃だったか、クラスメートが無修正の写真を学校に持ってきた。確かお母さんが水商売をやってて、その手の写真がいっぱいあったから持ってきたって言ってたと思う。その写真で生まれて初めて女性器を見たわけだけど、その時の第一印象は全く興奮なんて無くて、むしろ「気持ちわるっ!」って思った。それよりも一緒に写っている男性器の方が気になって、大人のおちんちんってこんなんだぁ、凄い大きいなぁって感じで、特に興奮したわけでもないけど、ただただびっくりした事を覚えてる。



この写真が多分きっかけだと思うけど、性に対して急激に興味が湧き始めオカズを探しはじめた。中学生が本屋でエロ本買うわけにもいかないし、何かないか探していたところ、近所にビニ本の自販機がある事に気が付いた。(ビニ本って言っても若い子は知らないと思うけど、エロ本を本屋で販売する際に、立ち読みを防ぐためビニールで包装したものです。)そして俺は早速早朝にランニングに行くふりして買いに行った。期待に胸を膨らませて中身を開くと、モザイクだらけで男性器も女性器も全く見えない。モザイクと言っても今のAVみたいな、ある程度透けて想像が出来るものじゃなくて、ぶっとい黒いビニールテープを無造作に貼り付けたような代物で、ほぼ下半身が見えないぐらい酷いものだった。結局、ビニ本には大いに落胆して、それをオカズにする事は出来なかった。初オナニーが中学生の時だったのは間違いないが、一体何をオカズにしていたのか本当に思い出せない。



中学時代のオカズはどうしても思い出せないが、高校生の時の事ははっきりと覚えている。2年生になるかならないかの時期だったと思うが、近所の本屋に立ち読みに行った際に得体の知れない雑誌が置いてあるのを見つけた。雑誌の名前は「薔薇族」。「薔薇族」ってなんやねんて興味本位で手に取ってみて最初に目に入ったのは、ガチムチの男達のグラビア写真。その写真に凄い衝撃を受け大興奮してしまった。と、同時に俺は何故男の写真に興奮してるんだって戸惑う気持ちもあった。もの凄く買いたい衝動に駆られつつも、何故か後ろめたい気持ちも芽生えてその時は買う事が出来なかった。その後も好奇心と興奮を抑える事が出来ず、何回か本屋に行っては買えず、また次の日に行って迷って迷って、やっぱり買えないって事を繰り返し、何日かめにようやく勇気を出してついに買ってしまった。家に帰ってからは貪るように写真を見たり小説を読み漁った。ビニ本の時とは大違いで、写真は当然として、小説でさえ興奮しまくりで、何回も何回もそれをオカズに自分のモノを扱いた。この時に初めて本当のオナニーの気持ちよさを覚えたのだと思う。



ということで、俺の性的指向が目責めたきっかけは「薔薇族」って事になるのかも知れない。ただ、オナニーの快感とは裏腹に「俺ってひょっとしてホモなの?」という不安が広がり始めた時期でもあった。